ファーストリテイリング 23年8月期/EC売上は1339億円/ユニクロECは下期に減収(2023年10月19日号)

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決算発表会で登壇した柳井正社長

決算発表会で登壇した柳井正社長

 アパレル最大手のファーストリテイリングは10月12日、23年8月期における国内ユニクロ事業のEC売上高が前期比2.3%増の1338億円になったと発表した。今年5月以降、外出自粛ムードがなくなり、リアル店舗の集客が拡大したことで、下期(23年3―8月期)のEC売上高は減収となった。ECでの情報発信不足という課題もあるという。
 国内ユニクロ事業のEC売上高は、上期(22年9月―23年2月期)が前年同期比9.7%増となったが、下期は同6.9%減だった。通期のEC化率は、前期比1.2ポイント減の15.0%となった。
 国内ジーユー事業のEC売上高は、同約15%増となった。EC売上高の実数は開示していないが、EC化率は約12%だという。そこから計算すると、EC売上高は354億円程になったと推定できる。


■海外成功例を国内展開

 ユニクロ事業では、スタッフによるライブ配信「LIVE STATION(ライブステーション)」や、スタッフや顧客によるスタイリング投稿「StyleHint(スタイルヒント)」など、多様なコンテンツの発信に注力しているが、まだ足りないと考えている。
 コロナ禍の収束に伴い、多くの顧客がリアル店舗に訪れていることを生かし、接客を通した新規アプリ会員の獲得や、店頭と連動した情報発信などを強化していく方針だという。店舗とECが一体となった新しい購買体験の構築を再加速する考えだ。
 グローバルでも「LIVE STATION」やSNSでの発信を強化し、ユニクロのブランド力強化を推進している。海外では店舗スタッフがライブ配信を行ったり、EC購入商品の店舗受け取りで工夫している事例もある。海外のOMO(ネットとリアルの融合)の成功事例を国内やグローバルで展開していく考えだ。
 柳井正社長は、「今後、数年程度で売上高5兆円を達成し、さらに引き続き、売上高10兆円の達成を目指していく。現在のやり方で、売上高5兆円までの道筋はほぼ見えている。あとはこれを2倍にするだけでそんなに難しくないと考えている」と話す。
 ファーストリテイリングの連結売上高は、前期比20・2%増の2兆7665億円だった。24年8月期は、連結売上高を同10.2%増の3兆500億円まで高める計画だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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