【住設企業の自社製品戦略】 オリジナル製品の販売活発化/売る目的から自社PRにも活用(2023年10月12日号)

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日本エコライフが販売するベガルタ仙台のオリジナル蓄電池

日本エコライフが販売するベガルタ仙台のオリジナル蓄電池

 住設企業による自社製品の販売戦略が活発化している。これまでも外壁塗装や太陽光発電の住設訪販会社は、独自の塗料や太陽光発電、蓄電池などを販売してきたが、近年は売ることだけが目的ではなく、会社のPRやブランディング、顧客から安心感を得るなど、販売目的が多様化している。オリジナル性を前面に押し出した営業展開は、他社との差別化につながる一方、特許を取得した製品などを除き、従来品と機能性に大きな差がないとの指摘もある。自社製品を開発した狙い、販売状況など各社の動きをまとめた。

 住設企業による自社商材の開発や販売は、これまでも多くの会社が手掛けている。他社と差別化を図るのが狙いだ。
 省エネ商材の一つである蓄電池は典型的な事例と言える。太陽光発電や蓄電池のメーカー各社は技術を生かし、独自の蓄電池を開発している。同時に販売店各社も各メーカーの技術を活用し、自社のオリジナル蓄電池の販売を進めている。
 自社製品で競合他社との差別化を図りたいものの、販売には機能性やブランド力が不可欠で、これが販売力の差となっている例もある。
 販売会社にも会社の知名度や信用力、営業社員のスキル、消費者のニーズを捉えた提案力などが求められる。商品力と販売戦略、時勢を読む力が自社製品の売れ行きを左右しているようだ。


■チームロゴ入れた蓄電池

 自社製品を販売する会社の現在の動向はどうか。
 宮城・仙台市に本社を置き、太陽光発電や蓄電池、オール電化を販売する日本エコライフ(本社宮城県、佐藤政彦社長)は、東北地方を中心に地域密着型の営業展開で成長を続けている。
 サッカーや野球のプロチームとの連携、支援を通じ、地域貢献の観点から会社のPRや信用力の向上に努めている。同社が試合の特別協賛を務める「エコライフマッチデー」を定期的に開催して地域貢献を深めている。
 各チームのロゴなどが入った蓄電池をオリジナル製品として展開している。販売時は、各チームの試合日に催事を行い、オリジナル蓄電池の販売や会社のPRに取り組む。佐藤社長は、「オリジナル製品は売ることが目的ではない。地域貢献が根底にある。イベントなどを通じ、会社の安心感や信用力を地域の人に伝えたい。その延長にオリジナル製品がある」と話す。
 最近では、東北地方で続けてきたこのビジネスモデルを九州や関東でも展開している。ただ、既存のノウハウをそのまま転用するのではなく、各地の特徴を踏まえてやり方を変えている。サッカーや野球だけでなく、バスケットボールチームとの連携や支援も新たに開始する予定という。
 これまでの地域貢献の成果について、佐藤社長は「地域住民に当社の認知、安心感、信用力が伝わっている感じはある」と説明。その上で「地域貢献を通じて販売が伸びたかどうかの定量的なデータは取っていないが、こうした取り組みのおかげで、さまざまなサービスが提供できるようになった。引き続き、地域貢献を起点に太陽光発電や蓄電池を広げていく」と話している。


■自の塗料で会社をPR

 外壁塗装を販売する三和ペイント(本社大阪府、木原史貴社長)は18年12月から、自社のオリジナル塗料を販売する。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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