東京電力ホールディングス/「越境EC売上減」も対象に/福島原発処理水放出の賠償で(2023年9月14日号)

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 東京電力ホールディングスはこのほど、本紙の取材に対して、8月24日に開始した、福島第一原子力発電所の処理水の海への放出に伴う風評被害の賠償について、「越境ECの売り上げの減少も対象になる」という見解を示した。賠償の請求には、10月2日以降に、「賠償金の請求書」「損害額の算定に必要な書類」「事情確認書類」の三つを、東京電力HDに提出する必要がある。11月以降に賠償を受けられるかどうかの判断がなされるという。
 東京電力HDによると、風評被害の賠償の対象となるのは(1)ALPS処理水放出による風評被害によって生じた製品の価格下落や売り上げ減少などにかかる損害(逸失利益)(2)風評被害によって負担を余儀なくされた費用(追加的費用)─の二つだという。
 中国越境ECで、処理水の放出が発表されて以降、それが原因で売り上げが下がったりしたものについては、賠償の対象になるとしている。対象となるのは、日本国内で事業を運営する事業者。日本国内で、海外の取引先とビジネスを行う事業者が含まれるという。海外を拠点に、ビジネスを行う日本の事業者は含まれないとしている。
 中国向けの越境EC事業者で、中国の越境ECモールに商品を出品して販売しているような場合は、処理水の放出に関連して売り上げが下がったことが証明できれば、賠償の対象になるとしている。証明の方法としては、中国現地で商品のPRを行う広告代理店などが、「処理水放出のため日本製品は扱わない」などといった文書やメールなどを受け取っていた場合、証明になり得るとしている。
 賠償額については、風評被害が認められれば、基本的に全額が賠償されるとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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