国民生活センター/越境消費者相談は4.1%増/相談件数は米国・中国が最多(2023年9月14日号)

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 国民生活センター(以下国セン)の「越境消費者センター(CCJ)」はこのほど、「2022年度 越境消費者相談の状況」を発表、前年度よりも4.1%多く越境に関する消費者相談が寄せられたことが分かった。海外のECを利用した消費者トラブルは増加傾向にあるようだ。事業者の所在地別でみると、米国の相談件数が最多となった。中国・香港の相談も多かった。


■約10割が海外ECでトラブル

 CCJは、国センが展開する、海外の事業者との取り引きでトラブルにあった消費者のため相談窓口だ。
 22年度(22年4月~23年3月)に CCJに寄せられた越境消費者相談の件数は、前年度比4.1%増の5006件だった。
 22年度の相談件数を取引別に分類すると、「電子商取引(オンラインショッピング、EC)」の相談が99.2%と、大半を占めている。0.6%は「現地購入」についての相談だったという。
 21年度は99.9%がECの相談だった。22年度の「現地購入」の相談比率が、前年度比0.5ポイント増になった背景には、コロナの制限が緩和され、海外に渡航する日本人が増加していることがありそうだ。


■「不良品」相談は4.2%増

 22年度の相談内容を、トラブル別に見ると、「解約トラブル」が最も多く、相談全体の41.0%を占めていた。インターネットで購入した、衣類や航空券の解約に関する相談が多く寄せられているという。
 越境消費者センターによると、「会員登録した覚えがないサイトから、海外サービスのサブスクリプションの利用料を請求されている」といった相談も非常に多いのだそうだ。


■悪質な手口が流行

 越境消費者トラブルの「手口」も変わってきているようだ。「23年度は特に相談数の増加が顕著で、悪意ある海外事業者が、日本語サイトの広告出稿枠を悪用し、巧妙な手口で複数のサブスクに会員登録させるという手法が流行している」(越境消費者センター)と話す。
 購入ページや決済ページの遷移ボタンの付近に、意図的に誤認させる広告を出稿することで、ユーザーが本来契約したかったサービスとは別のサービスサイトに遷移させ、登録させるのだという。
 22年度の、「不良品」の相談は、前年度比4.2%増となった。衣類や履物、家具、家電について、「不良品が届いたが、返品・返金に応じてくれない」といった相談が多く寄せられているという。


■40代の相談が最多

 22年度の相談を年代別で見ると、最も多いのは「40代」で、23.9%を占めていた。前年度も「40代」が最も多く、24.1%だった。
 「20代」~「50代」の各年代がそれぞれ約20%を占めている。
 「60歳以上」の割合は13.3%だった。21年度は11.8%だったことから、高齢者層の相談が増加傾向にあると言えそうだ。


■趣味用品・衣類の相談が多い

 22年度の相談を商品ジャンル別に見ると、物品のEC購入において相談が多かったのは、「趣味用品(12.8%)」「衣類(12.2%)」「身の回り品(7.7%)」「家具・家電(5.0%)」の順だった。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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