【テレビ通販企業の未来戦略】 若年層獲得を急ぐ/ジュピターはデジタル、QVCはオフライン強化(2023年9月14日号)

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ジュピターショップチャンネル・小川吉宏社長

ジュピターショップチャンネル・小川吉宏社長

 多くのテレビ通販企業が、将来を見据えた取り組みに着手している。消費者のテレビ離れや、ECなどのチャネルの台頭が背景にある。テレビ通販企業は現在、50歳以降のシニア層の囲い込みに成功しているが、現在40歳の人が10年後にテレビ通販で商品を購入するかは懐疑的だ。有力事業者は10年後に向けて新たな顧客層の獲得に向けて動いている。ジュピターショップチャンネル(本社東京都、小川吉宏社長)はデジタル施策に注力し、QVCジャパン(本社千葉県、伊藤淳史代表CEO)はオフライン出店を強化し、若年層の獲得を図っている。商材やサービスを広げて新たな顧客にアプローチするテレビ通販企業の動きも目立ってきた。

■デジタルで若年層獲得へ

 テレビショッピング番組「ショップチャンネル」を運営するジュピターショップチャンネルは、デジタル施策で若年層の獲得に成功している。メイン顧客であるシニア層向けの取り組みも強化しているが、若年層へも積極的にアプローチしている。
 今年1月、「SHOP CHANNEL PEOPLE(ショップチャンネルピープル)」という「ショップチャンネル」のECサイト上でゲストやブランド担当者、社員がファッションコーディネートを提案するサービスを開始した。
 社員には、さまざまな人が在籍しており、体型も異なる。「SHOP CHANNEL PEOPLE」に訪れた人は、そのようなさまざまな体型の人の着こなしを見てから、洋服を購入できる。ページ訪問者と近い体型の人もいるため、自分と似たような体型の人のコーディネートを参考にすることが可能だ。
 ECサイトで見ることができるため、「ショップチャンネル」のテレビ通販を見なくても、訪問した消費者からの購入につなげることができる。
 21年4月に開始したライブコマース事業の「コレイヨ」を22年10月から、インフルエンサーを起用したソーシャルコマース事業へと領域を拡大した。インスタグラムでライブコマースを実施している。
 小川社長は「今まで当社が獲得できていない若い人からの購入につながっている。想定よりも反応は良い。ライブコマースでの会話のやり取りを見ると、『ショップチャンネル』を知らない人が見て、気になって購入してくれていると思う」と説明する。
 ライブコマースでは、業務委託契約を締結したインフルエンサーが配信している。インフルエンサーが伝えたい内容、視聴者が興味ある情報を伝えて、購入を促している。
 「ライブコマースはだんだんと規模が大きくなってきている。今後も成長させていく」(小川社長)と意気込みを話す。


■体験型店舗を開設

 QVCジャパンは23年9月、東京・港区北青山の「Zero Base表参道」に体験型ポップアップショールーム「QVCウェルネスサロン2023」を開設した。表参道に出店することで、従来リーチできなかった若い層への認知拡大を目指す。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月14日号で)

「QVCウェルネスサロン」1階

「QVCウェルネスサロン」1階

QVCジャパン・伊藤淳史代表CEO

QVCジャパン・伊藤淳史代表CEO

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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