日本生活協同組合連合会/3月期の宅配事業0.9%減/若年層の組合員獲得に本腰(2023年7月6日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
土屋敏夫会長

土屋敏夫会長

 日本生活協同組合連合会(本部東京都、土屋敏夫会長)の23年3月期における宅配事業供給高は前期比0.9%減の2兆945億円となった。購入単価は上昇したものの、値上げの影響もあり利用点数が減少した。コロナ禍前の23年2月度までは19年比で伸長したという。
 23年3月期は、コロナ禍前の18年4月度との比較で2桁成長を維持した。環境に配慮した配達の実現に向けた取り組みでは、4月14日から、みやぎ生協でEVトラック1号車による配達運用を開始した。今後、コープみらい、いばらきコープ、とちぎコープ、コープこうべでも実験導入する予定だ。
 商品の値上げに対応するため「くらし応援全国キャンペーン」を23年1~3月に実施した。対象商品は1077品目で、総供給高は149億円だった。
 中期経営計画「2030年ビジョン」では、「宅配事業のリノベーション」を掲げている。週1回の宅配を維持した上で、店舗やネットスーパーなど複数の事業形態を組み合わせたサービスの構築を目指す。店舗や共済、福祉事業と組み合わせて総合力を訴求する。
 DX施策「DX―CO・OPプロジェクト」、生協未加入の若年層が冷凍食品などを中心に宅配商品を試すことができる「TRY CO・OP」を推し進め、若年層の組合員に対して魅力的なサービスを増やす。まずは、東北や関東甲信越、東海エリアで先行的に進め、23年度中に近畿や中国エリアに広げる。
 宅配センターについては、業務を標準化することで生産性を高める。チラシ作成コストの削減を目指し、「商品情報データベース構想」の構築を進めている。
 カタログ通販事業の供給高(売上高)は、前期比0.7%減の536億円。コロナ禍前の20年3月期と比べても減収となった。
 7月4日に記者会見した土屋敏夫会長は「値上げなどの影響もあり、組合員の家計を圧迫している。さまざまな地域で災害が発生しており、生協として防災・減災に取り組んでいく。2030年ビジョンを掲げて、事業構造の改革を推し進めていきたい」と話した。

〈全国生協 宅配事業供給高 2021年比・2019年比(%)〉

〈全国生協 宅配事業供給高 2021年比・2019年比(%)〉

記者発表会の様子

記者発表会の様子

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ