アスクル 23年5月期/売上・利益とも過去最高/BtoBの成長加速、ロハコ黒字化を達成(2023年7月6日号)

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決算説明会で事業戦略を語る吉岡晃CEO(写真右)

決算説明会で事業戦略を語る吉岡晃CEO(写真右)

 アスクルの23年5月期連結業績における売上高は、前期比4.2%増の4467億1300万円だった。当期純利益は同6.3%増の97億8700万円となり、売上高・利益とも過去最高を継続した。BtoB事業の成長加速と、日用品ECサイト「LOHACO(ロハコ)」の黒字化という二つの目標を達成した。25年5月期の売上高5500億円という高い目標達成に向け、来期も成長を加速できると意気込む。
 オフィス向け通販を主体としたBtoB事業の売上高は、同7.4%増の3738億6800万円だった。取扱商品数は1247万点、在庫商品数は16万6000点に拡大した。特に生活用品とMRO(工場・建設現場・倉庫などで使用する間接材)商材の売り上げが伸長した。
 「アスクル」の新ウェブサイトの一部機能を先行リリースし、一括購買ソリューション「ソロエルアリーナ」をオープン化したことで、検索サイト経由の流入が拡大している。外部流入経由の売上高は、154億円あったという。
 BtoC事業の売上高は、同10.5%減の632億5200万円だった。「ロハコ」の売上高は、同15.0%減の461億7600万円になった。出店している「ヤフーショッピング」のキャンペーン変更などの影響を受け、減収となっているが、目標通り黒字化を達成している。
 ロジスティクス事業の売上高は、同3.6%減の87億100万円だった。


■BtoB売上431億増へ

 24年5月期の連結業績は、売上高が7.9%増の4820億円、営業利益が同12.9%増の165億円、経常利益が同12.1%増の162億円、当期純利益が同5.2%増の103億円を計画している。
 BtoB事業の売上高は、成長スピードをさらに加速し、同11.5%増の4170億円を目指す。
 売上高を431億円上積みする計画について、吉岡晃CEOは「アスクルの新ウェブサイトのオープン化効果がさらに伸長するとみている。ウェブ広告を強化したことで23年5月期は売り上げが80億円増加した。24年5月期は販促費をさらに2倍にする」と語る。
 今年2月に買収した歯科用品通販のフィードが連結対象になることで100億円台前半の増収効果も期待できるという。
 オーダー単価の向上や粗利率の高い商品の強化、広告収入の増加により、売上総利益率を約1%改善することも見込んでいる。
 BtoC事業の売上高は、同12.6%減の553億円を見込む。「ヤフーショッピング」のキャンペーン変更の影響を受け、第3四半期までは前期割れする見通しを立てている。
 「ロハコ」の再成長に向けて、吉岡CEOは「法人向けの商品を『ロハコ』でも販売する。節約志向から業務用・大容量のニーズは高まっている。Zホールディングスグループとのシナジーも生かしたいが、LINEヤフーの統合の状況が今年10月以降に把握できると思うので、そこから(協業の)話し合いを行いたい」と語る。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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