オルビスは5月12日、立川の商業施設「グランデュオ立川」に、化粧品の無人販売店舗を開業した。同社が無人店舗を開設するのは初めて。無人店舗では、商品が置いてある棚に重量センサーを設置しており、来店客が商品を手に取ると、自動で検知する仕組みになっている。レジでバーコードを読み取らなくとも、決済が可能だ。無人店舗は、人件費がほとんどかからない。そのため、初月は、有人店舗より来客が少なかったが、黒字で運営できたという。
■複数のセンサーで感知
オルビスの無人店舗「ORBIS Smart Stand(オルビス・スマート・スタンド)」には、TOUCH TO GO(タッチトゥーゴー、本社東京都)の無人決済システムを導入している。
天井にも人感センサーを設置しており、来店客の動きを感知する。
ゲートを通って無人店舗の内部に入ると、畳4畳分程度の広さのスペースに、約50品目の商品が陳列されている。棚から商品を手に取って、出口にあるレジの前に立つと、機械の音声で「お手持ちの商品と画面に表示された商品に間違いがないか確認してください」という音声が流れる。間違いなければ、決済方法を選択し、料金を払ってゲートを出るという流れだ。
決済方法としては、交通系電子マネーや、クレジットカード、QRコード決済などを選択できる。
人材不足への対応
オルビスによると、美容部員などの働き手が不足する中、地方の百貨店などに、コストを抑えて、積極的に出店することを想定し、無人店舗を開設したという。
オルビスによると、店舗を出店している都道府県と、出店していない都道府県を比べると、通販も含め、商品流通に大きな差が生まれるという。人材確保が難しい地域でも、無人店舗ならば出店できる。そうした取り組みにより、その地域での化粧品メーカーとしての認知度を高めるのが狙いだという。
無人店舗では、離れた場所にいる美容部員から、オンラインカウンセリングを受けることもできる。オンラインカウンセリングは、店内のカウンターに設置してあるタブレット端末を使って行うという。
オルビスはコロナ禍において、通販の顧客が、専用のアプリからオンラインカウンセリングを受けられるサービスを構築していた。無人店舗では、アプリと同じ仕組みを使って、オンラインカウンセリングを受けられるという。
「アプリのオンラインカウンセリングで、通販のLTVが高まったという結果も出ている。アプリ・DM・無人店舗・オンラインカウンセリングなど、お客さまのニーズに合わせて、多様な接点を持てるようにしたい」(石田龍太郎店舗統括担当部長)と話している。
オルビス/センサーが商品を自動検知/初の無人店舗は初月黒字に(2023年6月22日号)
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