M3/〝学生会員〟の洗い出しへ/都の立入検査受け自主規制強化

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年末に東京都の立入検査を受けた健康食品を中心にネットワークビジネス(NB)を展開するM3(本社東京都、西山啓道社長)は、コンプライアンス体制の強化を図っている。「学生会員の洗い出し」が喫緊の課題だという。

 M3はもともと40~50代の会員を中心にNBを展開してきたという。ただ、15年春ごろまでに若年層の会員が急増。中には、学生である身分を隠してNB活動を行う〝隠れ学生会員〟がおり、〝隠れ学生会員〟を中心に消費者トラブルが増加したとみられるという。
 同社では15年5月までに事態を把握。フィールドに、学生会員の入会を不可としている同社の規約を含め、コンプライアンスの周知を徹底してきた。15年末までに学生であることが発覚した約10人の会員を除名処分。数百人の学生会員が自主退会をしていたという。ただ消費生活センターへの相談件数は増え、都から立入検査を受けることになった。同社ではこれを受け、12月25日に会員規約を改正。「学生会員の洗い出し」を徹底的に行える体制を整えた。
 一つ目の策として、新規登録の下限年齢を20歳から23歳に引き上げた。25歳以下の既存会員には16年1月末までに身分証の提示を求め、提示がない場合は、活動停止処分にすることにした。16年1月1日以降に新規登録した会員については、従来提出を求めていた「登録状況確認書」よりも詳細な内容を記載することを求める「登録状況申告書」の提出を義務付けた。
 さらに25歳以下の新規登録会員の配送先には、登録住所しか指定できないようにした。「親にNB活動を行っていることがばれないようにするために、配送先をアップラインの会員の住所にしていると思われるケースがあるため」(コンプライアンス委員会)だと言う。
 1月中に東京、福岡、金沢、静岡、松山、高知の6カ所においてコンプライアンスセミナーを開催する。同社ではこのセミナーの開催は、「会員へのコンプライアンス強化だけでなく、なりを潜めている学生会員の〝炙り出し〟としても機能するのではないか」(同)とみている。「例えばコンプライアンスセミナーに参加しなかった若年層会員に対しては、面会を行うなど確認作業を徹底するのが有効ではないか」(同)とみている。
 ただ〝学生であることの証明〟はたやすいが、若年層の会員が〝学生ではないこと〟を確認するのは容易ではないと頭を抱える。

続きは「日本流通産業新聞」1月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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