<富士経済が調査> EC市場13.8兆円/23年、スマホ経由の受注伸長(2023年6月1日号)

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 総合マーケティングビジネスの富士経済(本社東京都、菊池弘幸社長)は5月17日、23年における通販・EC・ネットスーパーの国内市場を調査し、その結果を発表した。それによると、23年のEC市場は前年比4.5%増の13兆8692億円になると予想。スマートフォン経由の受注が、市場拡大に影響するとみている。
 通販形態別ではECが市場をけん引している。22年時点で市場の9割近くを占めており、すべての商品 カテゴリーでEC比率は上昇している。
 健康食品/化粧品/医薬品(一般用医薬品)などでは、カタログ通販、ラジオ通販、テレビ通販でリピートユーザーの根強い需要がある。
 近年はスマートフォンを経由したECでの購入が増えている。メディアミックス戦略の一環としてECへの送客強化が活発で、原料価格や物流費高騰を背景とする販促費の見直しによりチャネルの再編が増えている。
 通販市場全体では23年、前年比3.8%増の15兆6820億円を見込む。このうちEC市場は、同4.5%増の13兆8692億円と予想している。
 受注形態別では、PC経由の受注が大半を占めていたが、スマートフォンの利用増加や専用アプリ配信の増加により、21年にはスマートフォン経由がPC経由の市場を上回った。
 スマートフォン向けのUI/UXの改善やアプリ提供・改良などユーザビリティー強化を図る動きもみられ、今後も高い伸びが予想される。PC経由の伸びは微増にとどまることから、市場に占める構成比は低下していくとみられる。
 この結果、23年の受注形態別EC市場は、スマートフォンが前年比8.4%増の7兆5704億円、PCは同0.1%増の6兆2940億円を見込んでいる。スマートフォン向けのUI/UXの改善やアプリ提供・改良などユーザビリティー強化を図る動きもみられ、今後も高い伸びが予想される。
 一方、PC経由の伸びは微増にとどまることから、市場に占める構成比は低下していくとみられている。


■ネットスーパーは12.9%増に

 同時に調査した23年のネットスーパー市場は、前年比12・9%増の3128億円を予想している。22年はサミットの再参入、流通大手がサービス対応店舗の拡充によるエリアカバー率向上や取扱品目数の増加による利便性向上と単価アップを図っており、市場は同12.1%増の2770億円となった。
 23年以降も流通大手を中心に物流インフラ整備への積極投資による配送網整備と自動化・省人化を進めていくとみられ、サービス展開エリアが広がることで、さらなる市場拡大が予想される。
 商品カテゴリー別では、食品・生鮮品が大半を占めており、購入頻度の高い生鮮品の都度購入のほか、コメや飲料類のまとめ買いなどが多い。生活雑貨は、利用者層のボリュームゾーンである子どものいる家族層のついで買いやまとめ買いが多く、堅調な需要がある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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