【訪販・食品宅配各社】 「健康経営」を戦略的に活用/人的資本に投資し人材確保を(2023年4月13日号)

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ヤクルト本社の全事業所で導入したストレッチの様子

ヤクルト本社の全事業所で導入したストレッチの様子

 企業で働く従業員の健康的な働き方を支え、企業の活力につなげてもらう「健康経営」に対する機運が高まっている。販売員や配送員を抱え、人的資本の比重が重く、マンパワーで業績を左右する訪問販売・食品宅配も例外ではない。社内の働き方を改めたり、管理職の意識を変えたりすることで人材確保を安定化させるほか、社員の離職を防ぎ、長く働ける環境作りに取り組む動きも活発化している。その一環として、経済産業省などが提唱する「健康経営優良法人」の認定を目指す企業が増加。従業員の心身の健康をサポートすることで離職防止につなげる企業もある。心身ともに満たされた状態を示す「ウェルビーイング」や、SDGsの観点からも持続可能な働き方を模索する訪販・食品宅配各社の取り組みを探った。

■ダスキン、ヤクルトが連続認定

 経産省が推進する「健康経営優良法人認定制度」では、地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰している。7年前から開始して21年度は1万5000社が参画、その数は年々増加傾向にある。
 訪販では上場企業が先行して「健康経営」を推し進めている。
 ダスキンは大規模法人部門で上位500社となる「健康経営優良法人2023~ホワイト500~」に2年連続の5度目の認定。ヤクルト本社はこれに6年連続で認定を受けている。
 ヤクルト本社は「健康宣言」を策定した上で従業員の健康増進に取り組む。従業員向けオリジナル体操「ヤクルトストレッチ」の実施▽eラーニングを活用した健康講座▽女性特有の健康関連課題への対応▽男性社員の育児休業取得の推奨─などが評価された。
 年に1度、従業員を対象に実施している「健康に関する社内アンケート調査」では、従業員の健康課題について「肩こり」「腰痛」「眼精疲労」が例年上位になっていた。これらの軽減を目的に、22年11月に全事業所で「ヤクルトストレッチ」=写真=を導入。全従業員が毎日、心身のリフレッシュ効果が得られやすい午後に、館内放送やデジタルサイネージで動画を放映して、背伸びや肩回しなど約3分間の「ヤクルトストレッチ」を実施している。
 従業員の健康に関するリテラシー向上を目的とした、健康講座の動画も配信し、勤務形態や場所を問わず、就業時間内に従業員が個人視聴できる環境を整えた。ヤクルト本社は「ヤクルトグループ販売会社を含めてグループ全体でさらなる健康経営の推進を図っていく」(広報)と話す。


■住設訪販では女性向けサポートを充実

 新卒社員を積極採用する住宅設備系の訪問販売企業の動きも目立つ。
 リフォーム訪販のメッドコミュニケーションズ(本社東京都)と、親会社のネクステージグループ(本社東京都)は「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」に4年連続で認定された。「グループ会社にヘルスケアの事業を行う企業もあり、もともと健康に対する取り組みや意識が高かった」(広報)と言い、従来からの活動を整備し、認定取得につなげた。
 喫煙者ゼロについては「作業中の臭いが気になる」という顧客から寄せられた声がきっかけだ。営業社員が訪問時に渡すはがきサイズの名刺の裏側に、気付いたことを記載できるアンケートを付けており、その中に記載があった。

(続きは、「日本流通産業新聞」4月13日号で)

メッドコミュニケーションズの職人選手権の様子

メッドコミュニケーションズの職人選手権の様子

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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