政府/レビュー依頼もステマに該当/景表法のステマ規制を閣議決定(2023年3月30日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 政府は3月28日、ステルスマーケティング(以下ステマ広告)を規制するための、景品表示法に基づく新たな告示を指定することを閣議決定した。閣議決定したのは、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」に関する告示。23年10月1日に施行される。同告示に該当する不当表示の具体例として、「インフルエンサーなどの第三者に広告表示を依頼する」ケースや、「購入者に商品のレビュー投稿を依頼する」ケースなどが示されている。


■商品の無償提供は対象外か

 新たな告示である「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の対象は、「事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示のように見えるもの」であるとしている。
 具体例としては、(1)インフルエンサーに対してSNSや口コミサイトに表示をさせる場合(2)購入者などに依頼して商品レビューを表示させる場合(3)ASPを通じてアフィリエイターに表示させる場合(4)別の事業者に依頼して競合他社の商品に自社と比較して低い評価を表示する場合─などを示している。
 事業者の表示とならない第三者の表示について、「第三者が自主的な意思に基づいて表示した場合」だとしている。
 さらには、「事業者が第三者に無償で商品を提供し、SNSで表示を行うことを依頼するものの、第三者が自主的な意思に基づいた内容を表示した場合」についても、事業者の表示には当たらないとしている。
 消費者庁では、第三者の表示が告示に該当するかについては、「『金銭などの対価があったか』や、『事業者から表示の指示があったか』などを勘案し、総合的に判断する」(消費者庁表示対策課)としている。


■課徴金の対象外

 告示の運用基準では、第三者の表示であっても、「PR」「宣伝」などの文言を表示すれば、事業者の広告表示であることが明瞭となり、不当表示には該当しないとしている。
 ただし、「事業者の表示である旨が部分的な表示しかしていない」「文章の冒頭に広告と記載しているにもかかわらず、文中に『これは第三者としての感想を記載』などと表示し、分かりにくい場合」─なども不当表示に該当する可能性があるとしている。
 表示が指定告示に該当した場合、措置命令の対象となり、社名や代表者名が公表される可能性がある。
 ただし、「指定告示」は課徴金納付命令の対象範囲外となっている。
 景表法に詳しい東京神谷町総合法律事務所の成眞海(せい・しんかい)弁護士は、「新たな告示の運用基準に照らせば、ウェブ上の記事広告や記事型のランディングページのほとんどが、ステマ広告に該当することになるだろう。法律の実効性について注視したい」と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ