【2023年版 訪販健康食品 売上高調査】 97社合計は3438億円/消費者の健康意識の高まりが追い風に(2023年3月30日号)

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 本紙はこのほど、訪問販売・ネットワークビジネス(NB)主宰企業を対象に、健康食品の売上高を調査した。22年1月~12月の間に決算期を迎えた企業97社の合計売上高は、3438億7700万円だった。前年と比較可能な32社の成長率は4.2%増となった。97社中増収が確認されたのは16社だった。
 訪販における健康食品市場は、長引くコロナ禍で消費者の健康意識の高まりを受けて追い風となった。大手健食メーカーが腸内環境をはじめとする機能性表示食品を次々に発売したことで消費者の認知も高まり、高品質を前面に押し出して提案する企業の好調さが目立つ。
 NBでは、全般的に横ばいから増収決算となる企業が多かった。11位のニナファームジャポンは前期比20%増の75億円。全体売上高は2期連続で100億円を超える見通しだ。
 化粧品訪販では、外出機会の増加に対応した新製品の開発、プロモーションを強化する動きがみられる。
 23年は美容のケアにつながるサプリメントの発売が続きそうだ。
 健康食品の販売が全体売り上げの7~8割を占める宣伝講習販売企業では、長引くコロナ禍で、店舗への新規顧客の集客に苦戦しており、横ばいから減収になる企業が目立った。


〈調査方法〉

■調査方法

 ▽「訪問販売 健康食品売上高ランキング」は、全国の訪問販売実施企業が対象にした。アンケート調査や取材データを基にランキングを作成した。売上高を公表していない企業については、周辺取材や決算公告などを基に推定した。
 ▽調査対象は、22年1月から12月の間に迎えた決算期の実績。金額は出荷ベースとした。健康食品だけを取り扱っている企業は全社売り上げを記載した。他の商品カテゴリーも扱う企業は健康食品部門の売上高を記載している。

■表の見方

 ▽売上高は100万円単位で記載、100万円未満は切り捨てた。増減率は小数点第二位以下を四捨五入した。増減率の▲はマイナスを表す。表中の「-」は不明、もしくは算出不能。
 ▽「健康食品売上構成比」とは、全体の売上高に占める健康食品売上高の割合。主力ジャンルは、売れ筋商品のアンケート結果や本紙取材を基に、独自に選出した。
 売上高に※印がある場合は本紙推定。◎を付けた企業の注記は以下の通り。
 ▽サンクスアイ=グローバル売り上げを掲載。
 ▽ポーラ=ポーラの委託販売チャネルの売り上げのうち、健康食品の売り上げを推定。
 ▽サンベール=22年1―12月の1年間の健康食品の売上高を掲載。
 ▽ベルエアー=決算期を3月期に改めたため、15カ月間の変則決算の売上高を掲載。


〈契約書面の電子化〉6社が契約書面の電子化「行わない」

 本紙はこのほど、健康食品訪販企業を対象に、契約書面や概要書面の電子化についてアンケート調査を行った。アンケート調査の結果、「契約書面の電子化を行う考えがある」と回答したのは、22社中2社(9.1%)だった。「行う考えはない」が6社(27.2%)、「分からない」が最多で、14社(63.6%)だった。
 「契約書面の電子化」については、23年6月1日に施行される。訪販や連鎖販売取引、電話勧誘販売などにおいて、消費者が電子書面の交付に承諾した場合、電子交付を承諾した旨を示す紙の書面を交付すれば、書面の電子交付が可能となる。
 契約書面を電子交付する場合、事業者は、消費者に電子書面が到達したことを確認する必要がある。消費者のデバイスのサイバーセキュリティーが担保されていることを確認することなども義務付けられている。
 消費者がスマホを持っていれば、電子書面を交付することが可能になるが、電子メールにPDF形式で書面を添付する形で交付することも規定している。
 「契約書面の電子化を導入する場合、自社で複雑な法規制をクリアする仕組みを構築する必要があるが、とてもではないができない」(NB企業)や、「どこか電子書面のシステムを開発してくれたら、導入を検討する」という声が聞かれた。
 駆け足で導入された感がある、「契約書面の電子化」の制度。施行前の段階では、消費者や事業者の利便性向上につながるか不透明だ。


〈インボイス制度〉「検討中」いまだ多く

 本紙が行ったアンケート調査では、改めて「インボイス制度」への対応についても聞いた。「検討中」と回答したのが、20社中15社に上った。アンケートに回答した7割以上の企業が、対応を決めかねているようだ。
 インボイス制度については、訪販の販売員などの免税事業者が、インボイス制度に登録して課税事業者になった場合、消費税の納税の義務が生じる。インボイスに登録して課税事業者になった人は、23年10月1日以降の3年間は、消費税の納付額を売り上げ税額の2割にする特例措置が設けられている。
 多くの販売員を抱えるメーカーへの救済策として、制度開始から6年間は、一定規模以下の事業者との取引について、これまで通り帳簿のみで仕入れ税額控除を可能にする措置も設けられている。
 「方針を決めた」とする企業の割合は、本紙が22年12月に訪販実施企業全体を対象に行った調査よりも増えた。とはいえ、23年10月1日の制度施行が迫る中、対応が追い付いていない企業もまだまだ多いようだ。
 具体的な対応を決めた企業からは、「インボイスに対応するため、システムの導入を行う」(中小NB企業)とする声が聞かれた。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月30日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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