【2023年版 通販健康食品売上高ランキング】 111社合計は6940億円超/実質成長率は5.7%増に(2023年3月30日号)

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 日本流通産業新聞はこのほど、通販実施企業を対象に、健康食品売上高調査を実施した。22年1~12月の1年間の間に決算期を迎えた健康食品通販企業の売上高は、111社合計で6940億6600万円だった。前年調査と比較可能な26社による実質成長率は、5.7%のプラス成長だった。世田谷自然食品をはじめ、アクシージアや、ディーエイチシー(DHC)など、10億円以上の増収を達成した企業が、本紙推定を含め複数社に上ったことが、プラス成長となった要因だと見られる。

■増収企業は26社

 ランキングに掲載した111社のうち、増収したのは14社だった。
 もっとも増収率が高かったのは、ポーラ・オルビスホールディングス傘下でパーソナライズサプリを展開するトリコ。トリコでは22年12月期中に、ユーチューブでの、タレントを活用したPRなどが奏功し、プロテインが大きく売り上げを上げたとしている。
 37位のアクシージアも前期比46.6%の増収を記録した。中国越境ECをメインに展開する同社では、動画プラットフォーム「Douyin(ドウイン)」などを通じた売り上げが拡大したとしている。
 DHCや世田谷自然食品、山田養蜂場、大正製薬ホールディングスといった大手健康食品通販企業も、増収した。
 大正製薬ホールディングスでは、ダイエット訴求の機能性表示食品が、コロナ禍の運動不足解消の需要とマッチして好調に売れたとしている。
 一方、減収した企業は9社に上った。
 前期比49.0%の減収となったジェイフロンティアでは、広告費をオンライン診療・服薬指導プラットフォームに集中させた結果、漢方や健康食品の新規獲得が伸びず、減収となったとしている。
 前期比10.0%減となった小林製薬では、減収要因として、広告による新規顧客の獲得効率の悪化を挙げた。
 減収要因として、薬機法や景品表示法の規制強化で広告の訴求力が弱まったことを指摘する声もあった。


〈調査方法〉

■調査方法

 ▽「健康食品通販売上高ランキング」は、全国の通販企業を対象に調査を実施した。3月に、調査票を送付し回収。本紙取材データなどから算出した売上高も加え、独自にランキングを作成した。
 ▽調査対象は、22年1~12月の間に決算期を迎えた売上高実績。健康食品だけを取り扱う専業企業は全社売上高を、他の商品ジャンルも取り扱う兼業企業は健康食品部門の売上高を掲載した。一部の兼業企業は健康食品以外の商材の売上高を含む場合もある。
 ▽健康食品の対象範囲は、企業ごとに定義が異なる場合がある。
 ▽通販企業を対象にしているが、通販チャネル以外の「直営店」「卸売販売」「原料販売」などの売り上げを含む企業もある。

■表の見方

 ▽売上高が非公開の場合は、周辺取材や決算公告などをもとに推定した数字を用いた。
 ▽売上高は100万円単位で掲載、100万円未満は切り捨てた。増減率は小数点第2位を四捨五入した。
 ▽「健食売上構成比」とは、通販全体の売上高に占める健康食品売上高の割合。主力商品は、売れ筋商品のアンケート結果や本紙取材をもとに、独自に選出した。
 ※は推定。◎を付けた企業の注記は以下の通り。
 ▽世田谷自然食品=化粧品、食品を含む売上高
 ▽ユーグレナ=22年12月期におけるユーグレナ、エポラ、MEJの健康食品の売上高を推定。
 ▽アクシージア=中国EC、化粧品の売り上げ含む売上高。
 ▽ヴェントゥーノ=化粧品を含めた全社売上高の推定値。
 ▽レバレッジ=21年に決算期を10月期に変更した。前期は21年4月―21年10月の7カ月間の変則決算。
 ▽エーエフシー=健康食品などの通販の売上高を推定。化粧品通販の売上高を含む。


 〈オフライン通販〉インフォマーシャルの効率向上も

 オフライン通販市場では、キューサイやトウ・キユーピー、ニッピコラーゲン化粧品など、インフォマーシャルや新聞広告での新規顧客獲得が進んだという声が多く聞かれた。キューサイでは、インフォマーシャルのクリエーティブを、製品の成分やユーザーの悩みを訴求する内容から、悩みを解決した後の姿を訴求する内容に変えたところ、広告の獲得効率が高まったとしている。
 111社のトップになったサントリーウエルネスでは、22年12月期の売上高が前期比4.6%増の1145億5300万円となった。健康食品の売上高は明らかにしていないが、本紙では950億円と推定した。
 アサヒグループ食品や雪印メグミルクが展開する、骨密度ケアのトクホや機能性表示食品が、60代以降の中高年女性に受け入れられており、オフラインチャネルでの獲得が進んだと見られる。
 アサヒグループ食品の骨密度ケアの機能性表示食品「骨こつケア」は22年12月時点で、19年の発売から累計200万個を販売したとしている。
 世田谷自然食品では、引き続きグルコサミンのサプリメントで新規顧客獲得を続けている模様だ。健康食品の売上高の比率は50%程度だと見られる。
 オフライン通販市場では、基幹システムの改修を行う企業が増えている。やずやでは、21年に基幹システムを刷新、トウ・キユーピーも、22年8月に基幹システムの改修が終了したという。キューサイでは、現在基幹システムの改修を行っており、23年12月期中に新たなシステムの運用を開始する予定だとしている。
 各社では、基幹システムで運用している顧客のデータベースを、LINEなどのオンラインを通じた顧客コミュニケーションに活用しようという動きがあるようだ。オフラインで契約した顧客が、定期購入の商品や頻度を変える際、ECサイトのマイページ上で変更できるように改修する動きもある。
 オフライン通販企業のオンライン強化が進んでいる。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月30日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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