【サステナブル化粧品容器トレンド】水平リサイクルが始動/あえて黒点残す容器の提案も(2023年3月9日号)

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バイオマスプラマーク付きチューブ

バイオマスプラマーク付きチューブ

 SDGsへの対応が時代のキーワードになる中、「サステナブルな化粧品容器」が注目を集めている。容器供給各社では、多様な切り口のサステナブル容器の提案を行っている。ツバキスタイルグループとグラセルが共同出資した新会社、BEAUTYCLE(ビューティクル)では、容器を回収し、同種の容器としてよみがえらせる水平リサイクルシステムが今春始動する。一方、宮本では、従来「不良」として廃棄されていた黒点付き容器をあえて出荷する、新たなSDGsの取り組みの提案を開始した。海外のサステナブル容器のメーカーと独占契約を結び供給を始める化粧品ODM・OEM企業も出てきている。


■サステナブル容器提供体制の整備進める

 化粧品容器を供給する各社は、多様なサステナブル容器を提供できる体制の整備を進めている。サステナブル容器には、農林水産物などを原料とした「バイオマスプラスチック」や、廃材の再生による「リサイクルプラスチック」、焼却時のCO2排出量を削減できる「グリーンナノ」など、さまざまなアプローチがある。樹脂容器の代わりに、「ガラス」や「紙」の容器を活用するアプローチもあるし、中身の交換が可能な「リフィル容器」という選択肢もある。「メール便対応容器」なども、物流に伴うCO2排出を削減するという意味では、サステナブル容器の一つと言ってよいだろう。
 化粧品業界においては、こうしたサステナブル容器の需要が年々高まっている。
 例えば、多様な化粧品容器を販売するメーカーのベッセル・ジャパン(本社東京都、内藤明美社長、(電)03―5791―3366)では、日本バイオプラスチック協会(JBPA、事務局東京都)の「バイオマスプラマーク」を付けたチューブ容器=写真上=が人気となっている。
 同社では、サトウキビ由来のプラスチック素材(以下バイオ素材)を採用したエコ容器の開発・供給が可能。「バイオマスプラマーク」を付けるためには、一定の基準をクリアした上で、容器そのものや、印刷に使用するインキ・着色顔料などを、JBPAに登録する必要がある。
 同社はJBPAの賛助会員となっており、開発した容器について、化粧品メーカーに成り代わって、マークの登録申請を行える。
 すでに、数十型のチューブ容器について登録の実績を持っている。印刷に使用するインキ・着色顔料の登録も行っているため、同マーク付きのチューブ容器を、迅速に開発できるという。
 同社開発の容器に関しては、無償で登録手続きを代行している。5000本程度のオーダーから、バイオ素材への切り替えが可能だという。
 チューブ容器のキャップに、(一社)日本有機資源協会(JORA、事務局東京都)の「バイオマスマーク10」を付けることも可能だ。


■新たなエコ対応容器の提案開始

 トータル2500型以上という圧倒的な品ぞろえで「化粧品容器のデパート」とも言われるグラセル(本社大阪府、 石塚吾朗社長、(電)072―640―5678)では、グリーンナノからリフィル容器まで多様なサステナブル容器を提案している。同社ではこのほど、「フリーブレンド工法」を提案する第一精工舎と提携を結び、新たなエコ対応容器の提案を開始した。
 同工法を活用すれば、樹脂と他の原料をブレンドした素材での製品開発が可能になる。植物からガラス、石、金属、紙まで幅広い原料を製品に応用できる可能性があるという。
 50%以上配合できる原料も多いとしており、樹脂量の削減に貢献する。これまでは捨てていた廃棄物を原料にして、容器を開発することも可能だ。
 同社では第1弾として、フリーブレンド工法を採用できる自立型スパチュラ「STAND(スタンド)」を発表。もみ殻やホタテ殻、銅といった素材を配合した素材のスパチュラを供給できるという。


■”ボトル・トゥー・ボトル”を実現する取り組み

 化粧品容器の製造・販売事業を展開するツバキスタイル(本社東京都、杉山大祐社長、(電)03―5283―8566)グループとグラセルが共同出資で立ち上げた新会社BEAUTYCLE(本社佐賀県)では今春、佐賀・神埼市に新工場を設立し、回収した化粧品・トイレタリー容器を、同じ種類の容器としてよみがえらせる水平リサイクルの仕組みをスタートさせる。
 新工場では、PET、PE、PPなどの容器について、回収→洗浄→粉砕→樹脂化→容器製造を一貫して行える。トイレタリー・化粧品容器における?ボトル・トゥー・ボトル?を実現する取り組みといえる。再生容器についてトレーサビリティーを確保することも可能だ。ユーザーに安心と信頼を提供する取り組みといえそうだ。


■SDGs対応容器「黒点付き容器」を提案

 一方、化粧品容器の販売を手掛ける宮本(本社東京都、宮本浩樹社長、(電)03―3681―8943)は、1月開催の展示会「化粧品開発展」で、独自のSDGs対応容器の取り組みとして、「黒点付き容器」の提案を行った。
 樹脂製の化粧品容器の製造においては通常、ある程度の割合で、黒い小さなシミが付いた?不良品?が発生する。黒点付きの?不良品?は通常、厳密なチェックを行った上で、はじかれ、廃棄される。
 この黒点付き容器を、あえてはじかず出荷することにより、樹脂やエネルギーの全体的なロスを削減してはどうかというのが、同社の提案だ。ユーザーにも「SDGsに対応するため黒点付きの容器をあえて出荷する」ことを発信し、共感を得るのだという。
 同社によると、展示会では、「黒点付き容器」が注目を集めたという。
 サステナブル容器の取り組みを始めているのは、容器会社だけではない。健康食品・化粧品の総合受託メーカーである東洋新薬(本社福岡県、本部佐賀県、服部利光社長、東京支店(電)03―3499―3555)は2月21日、INNERBOTTLE(インナーボトル、本社韓国)と契約を結び、サステナブル化粧品ボトルの日本独占提供を開始したと発表した。
 同ボトルは、アウターボトルの中に、伸縮性のあるインナーボトルを入れる構造となっており、化粧品の残留物を最小限に抑えることが可能。化粧品の酸化を抑えることにも役立つ。
 アウターボトルは、生分解性ボトルやバイオマス樹脂など、サステナブルな素材にも対応できるという。SDGs対応のパッケージによる化粧品開発を実現できるとしている。

フリーブレンド工法製品第1弾の自立型スパチュラ「STAND」の一例

フリーブレンド工法製品第1弾の自立型スパチュラ「STAND」の一例

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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