【猫関連の通販市場】グッズとフードで明暗分かれる/猫壱は2年で倍増の20億円に(2023年2月16日号)

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猫壱の人気商品である猫用爪とぎ『バリバリボウル』

猫壱の人気商品である猫用爪とぎ『バリバリボウル』

 猫関連グッズのEC市場が盛り上がりを見せている。猫用の食器や、爪とぎなどを販売する猫壱は、ここ2年で売り上げが倍増、22年3月期の売上高は21億円になった。23年3月期も増収見込みのようだ。猫用トイレを販売するオーエフティーや、猫用インテリアを販売するLifeitも順調に増収を続けている。猫の飼育頭数自体が伸びていることが、好調の背景としてみられる。一方、キャットフードのECは、新規参入も少なく、苦戦を強いられている企業が少なくないようだ。フード関連のECが大きく伸長している、犬関連EC市場とは、真逆の様相を示している。

■猫用商品だけで20億円に

 猫用グッズのECを展開する猫壱(本社東京都、竹内淳社長)の22年3月期の売上高は、21億円だった。19年3月期の売上高は10億円。2年で売上高が倍以上になった計算だ。同社で販売するのは、猫用の食器や爪とぎ、キャットタワーといった商品だ。
 「猫関連の商品ということで、SNSとの親和性が高い。15年から始めたインスタグラムのフォロワー数は現在、9万人を超えている」(事業担当者)と話す。
 同社では、フォロワー数を増やすため、猫と一緒に撮った写真を投稿してもらうキャンペーンを早期から実施するなど、ファンとの交流を高頻度で行っているという。「人気商品である猫用爪とぎ『バリバリボウル』は、『#(ハッシュタグ)バリバリボウル』で検索すると、1万7000件の投稿がある。『#猫壱』では14万件以上だ。インスタグラムでの投稿数の増加が、当社の認知拡大につながっている」(同)と話す。
 ペット用品のECを展開するオーエフティー(本社兵庫県、若林昇社長)では、3年ほど前から猫関連商品の売り上げが、犬関連商品を上回ったという。現在では、全体の約7割を猫関連商品が占めているようだ。
 「猫関連では、自動トイレが大きく伸びている」(企画課・若林昇一郎氏)と話す。21年12月期には、猫用自動トイレの売り上げが前期比3倍以上になったという。
 「22年12月期も増収となったが、前期ほどの増収には至らなかった。安価な海外製品が急増しており、レッドオーシャンになりつつある」(同)と話す。「現状だと、価格面で競争するのは難しい。猫用の自動トイレは1台数万円と決して安い商品ではない。購入後のサポート体制を充実させ、差別化につなげていきたい」(同)とも話す。
 「猫用トイレでは、トイレ本体だけではなく、中の猫砂での差別化が奏功している。消臭力や速乾性など、機能性の高い商品が大きく伸びている。最近では、フレグランス系の猫砂も人気となっている」(同)と話す。同社では、計7社、約30種類の猫砂を販売している。「価格、機能、香りなど、幅広い需要に対応できるようにしている。猫砂は定期購入による販売も実施しており、主力商品になりつつある」(同)と話す。
 複数のECを運営するLifeit(ライフイット、本社東京都、西上節也代表)では、「猫との暮らし」をテーマにした商品を販売する「uminecco(ウミネッコ)」が大きく売り上げを伸ばしているという。
 同サイトでは、通常の雑貨や、ペット用雑貨も取り扱っているが、売り上げの中心は、ペット用家具だという。「ペットジャンルは競合が多く、販促に注力しないと、埋もれてしまうのが現状だ。ペット用の家具の市場は、まだ競合が少なく、価格競争も起きていない。正攻法で販売できる市場だとみている」(植田元気社長)と話す。
 同社では、ベビー用品や子ども用品のECサイトも展開している。他サイトと「ウミネッコ」との違いについては、「ペット用品は長く使えるため、『高くても良いものを』という傾向が強い。ベビーや子ども用品は、使用期間が短いため、高い商品を買うには抵抗がある。『高くても良い商品』をそろえることが、ペット用品では重要になってくるかもしれない」(同)と話す。


■猫通販のアイデアグッズも

 段ボールの通販を展開するアースダンボール(本社埼玉県、奥田敏光社長)は23年1月、組み立てると猫の家になる段ボールを発売した。段ボールは商品の発送にも使える。開封後に組み立てると猫の家になるという。「爪を研いだり、猫は段ボールが好きという話はよく耳にしていた。『届いた段ボールに入ってしまった』というSNSの投稿も多い。そこを逆手に取り、段ボールにプリントして猫の家にすれば、SNSの投稿頻度や注目度も上がるはずだと考えた」(奥田社長)と話す。
 「オーダーメードであれば、企業や商品のロゴのプリントもできる。SNSによる認知拡大にもつながる。猫通販の市場拡大に伴い、需要が増えるとみている」(同)と話す。


■フード市場は困難

 一方、キャットフードECでは、苦戦している企業が目立つ。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月16日号で)

オーエフティーの猫用自動トイレ

オーエフティーの猫用自動トイレ

アースダンボールの段ボールを組み立てれば猫の家に

アースダンボールの段ボールを組み立てれば猫の家に

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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