Zホールディングス 22年4―12月期/モール取扱高1.4%減/ポイント施策の変更が影響(2023年2月9日号)

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出澤剛代表取締役

出澤剛代表取締役

 Zホールディングス(HD)の22年4―12月期(第3四半期)における国内物販取扱高は、前年同期比0.9%増の8100億円だった。「ヤフーショッピング」や「PayPay(ペイペイ)モール」などのショッピング事業の取扱高は、同1.4%減の4712億円だった。ECモールのポイント施策を変更したことが、取扱高の減少に影響した。
 22年10月の「ヤフーショッピング」と「PayPayモール」の統合に合わせて、モール内のポイント還元策を刷新している。毎週日曜日に実施していたソフトバンクモバイル契約者向けの高還元ポイント施策を撤廃。代わりに「PayPay」払いでポイント還元率が常に高まるサービスを提供している。
 ポイント施策による粗利率の改善や、注文対応の負荷分散の効果は出ているが、取扱高の増加にはつながらなかったという。IRでは売り場統合による取扱高の影響は想定内としている。
 一方、「ヤフーオークション」や「PayPayフリマ」などのリユース事業の取扱高は、同8.0%増の2611億円となった。フリマ事業の拡大が、国内物販取扱高の増加をけん引した。


■3社の合併方針発表

 ZHDは2月2日、23年中をめどに中核子会社のLINEやヤフーと合併する方針を明らかにした。これまで業績拡大をけん引してきた広告事業の収益が、22年後半から急激に減少している。経営の意思決定の迅速化を図り、立て直しを急ぐ。
 21年3月の経営統合直後には、LINEのずさんな個人情報の管理体制が発覚した。発覚後、個人情報管理の改善策を最優先事項とした。統合の目玉となるはずだったLINEとヤフーによるID連携も、23年以降にずれ込み、新しいサービスの提供が思うように進んでいない状況だ。
 合併後はグループで重複している機能やサービスを見直し、コストを削減、収益向上と成長性確保の両立を目指す。国内のEコマース事業に関しては、ポイント・販促中心の戦略から、よりグループの長所を生かした戦略に変更し、実行までのスピードを速める。
 「3社が真にワンチームとなり、圧倒的なスピード感を持って、良い製品を創出する力と、厳しい環境にも負けない収益力を向上させていく」(出澤剛代表取締役)と意気込みを語る。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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