【蓄電池市場】 楽天G参入で市場活性化へ/廃棄、リサイクルの問題も(2022年10月27日号)

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 楽天グループの子会社で、電力事業を手掛ける楽天エナジー(本社東京都)が9月、オンラインによる家庭用蓄電池の販売を開始した。膨大な楽天ユーザーに対する販売で市場の活性化につながるか注目が集まる。一方、家庭用蓄電池を対面で販売してきた住設訪販各社は、楽天グループの参入を冷静に捉えており、新たな施策の動きは今のところないようだ。停電対策や電力確保など、社会的なインフラを支える家庭用蓄電池だが、廃棄の問題も指摘されている。太陽光発電に続き、廃棄処理やリサイクル方法などの整備が求められる。

■ポイントの強み生かす

 楽天グループで小売り電気事業の楽天エナジーは9月28日、家庭用蓄電池の販売や運用を行う「楽天ちくでんち」のサービスを開始した。
 蓄電池を購入すると「楽天ポイント」が還元されるほか、運用サービスに契約すると、毎月楽天ポイントを貯めることができる。楽天ポイントの強みを生かして販売を拡大していく計画だ。
 販売はオンラインに特化し、ユーザーが手にしやすい価格設定にしたという。「ウェブサイトでは事前のシミュレーション機能も伴わせて提供している。普段から楽天のサービスを利用しているユーザーにとっては信頼感があり、安心して利用してもらえるサービスを提供できる」(楽天ちくでんちの広報担当者)としている。
 また、購入ポイントや運用ポイントを貯めやすくし、ポイントを有効活用することで、コスト面にも反映させる。サポータープログラムに参加すれば初期費用を30万円値引きする独自企画でも販売促進につなげている。
 販売から契約まで販売代理店などを通さず、現在は蓄電池ベンダーから直に仕入れてウェブサイトで販売している。サイトで見積もりやシミュレーションを行った後、現地調査をする。現地調査は、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木、山梨を対象とし、設置状況の確認と価格などが決まった後、メールで届く電子契約書類などに同意して契約の手続きに入る。
 楽天エナジーが家庭用蓄電池の販売に参入した背景には、安定的な電力供給と再生可能エネルギーの社会的な高まりがある。
 太陽光発電がFIT制度(エネルギーの固定価格買い取り)の開始に伴って、投資用商品として急速に普及したが、蓄電池は投資商品にはならなかったため普及が遅れたとされる。近年の気候変動の影響で災害が多発していることも蓄電池のニーズの高まりにつながっている。
 楽天エナジーが販売するのは京セラの蓄電池「エネレッツァ」だ。10キロワットと15キロワットの2種類を用意し、蓄電池と工事費込みで税込価格は198万円と231万円。クレジットカード決済や銀行振込に対応する。時期は未定ながら今後、製品の種類を拡大していく予定としている。


■対面が有利に働く

 家庭用蓄電池の市場は年々拡大傾向にある。市場拡大をけん引してきた住設訪販各社は、楽天エナジーの参入について冷静に受け止めている。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月27日号で)

経産省が22年8月に出した、蓄電池に関する今後の取り組み(写真は一部の情報)

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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