〈水宅配大手〉 「22年水消費量は前年並み」/コロナ後の増加傾向に一服感(2022年7月21日号)

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 本紙はこのほど、水宅配大手3社に、「22年の水消費量の予測」について聞き取り調査した。消費量の急増・急減を予想する会社は1社もなく、3社とも、横ばいから微増で推移するとみていることが分かった。
 水宅配業界では、コロナの影響を受け始めた2020年以降、顧客1件当たりの宅配水の消費量が増加する傾向にあった。22年の水消費量を予測すべくこのほど、ナック、アクアクララ(本社東京都)、富士山の銘水(本社山梨県)の3社に対して、聞き取り取材を実施した。
 「クリクラ」ブランドのナックとアクアクララでは、配送員が水ボトルを回収する「リターナブル方式」で水宅配を展開している。一方、富士山の銘水では、配送会社が水ボトルを配送する「ワンウェイ」方式の宅配水を展開している。
 ナックでは、22年の顧客1件当たりの水消費量について、「『現時点で新たな行動制限を実施する予定はない』とする政府の発表から考えると、在宅時間が増加した22年4月期ほどの伸びはないと予想する」としている。
 22年4月期は、顧客の在宅時間の増加や、積極的な販促活動が影響し、顧客1件当たりのボトルの使用本数が微増となっていたという。
 アクアクララでは、22年3月期の顧客1件当たりの水の消費量が、「21年3月期と同程度だった」としている。
 22年については、「ガソリンなどの物価高や、今後のさらなる値上げ、新型コロナの再拡大などで、市場の消費動向の予測がしづらい。ただ、新型コロナの状況改善や、顧客数の増加が期待できることから、前年と同程度か若干の伸びがあると思われる」(経営戦略室)としている。
 富士山の銘水では、「22年4月期における、1件当たりの水の消費量は、前年1年間と比較すると微減となった。ただ、コロナ前の19年と比べれば増加した」(マーケティング部)と話している。
 22年については、「昨年同様、コロナ初期に比べれば落ち着くだろうが、19年よりは高い水準を維持できると見ている」という。
 水宅配各社では、コロナ禍においても、新商材を開発したり、加盟店の支援を拡大したりして、新規顧客の積極的な獲得を進めている。顧客1件当たりの水ボトルの消費量を、コロナ前よりも高い水準で維持できれば、さらなる顧客拡大に向けた投資が行いやすくなりそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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