〈DPF取引透明化法〉 施行1年、問われる真価/事業者からは好影響の声も (2022年4月21日号)

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 一定以上の市場規模を持つデジタルプラットフォーム(DPF)に対し、取引環境の公正化に向けた努力義務や、その報告を課す「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(DPF取引透明化法)」の施行から1年強が経過した。政府による対象DPF運営事業者への評価が控える中、出店事業者からは施行後に運営状況が改善されたという声も上がっている。
 「DPF取引透明化法」では、DPFの運営状況や透明性向上、紛争解決に向けた自主的取り組みとともに年度ごとの報告書の提出を、対象となる「特定DPF」に義務付けている。「特定DPF」の指定は市場規模が基準となり、ECモールでは「国内売上高3000億円以上のECモール」が対象にあたる。
 現在、対象となっているECモール運営事業者は、アマゾンジャパン、楽天グループ、ヤフーの3社だ。各社は、専任部署の発足や出店者に向け、自主的取り組みを説明する専用ページの開設など、「DPF取引透明化法」を念頭に置いた取り組みを進めている。
 5月末までの報告書提出を控え、政府の動きも活発化している。21年12月には、ヒアリング項目の精査や適切な評価に向け、「デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合」が発足した。有識者や関係各省で構成された会合では、特定DPF提供者に対する質問・確認項目や、評価の基準についての検討が実施されている。
 3月14日に実施された第2回会合では、DPF出店事業者・消費者を対象としたアンケートの調査結果も公開された。
 アンケートでは「DPF取引透明化法」施行後の各モールの取引環境についての意識調査も実施。情報開示や相談窓口対応の改善状況については、各モールとも7割前後の事業者が肯定的な回答を示しており(別表参照)、会合内でも「DPF取引透明化法」が一定の成果を収めていると解釈された。
 対象となる三つのECモールに出店・出品を行う雑貨の販売事業者は「(施行後)大きな負担は事業者レベルでは発生していない。各モールの働き掛けを通じて、オンラインショッピングそのものに安心・安全なイメージが浸透していくのはプラスではないか」と述べる。
 「特定DPF」は年度ごとの見直しが定められ、市場の広がりとともに対象となるECモールと運営事業者が拡大することも予測される。自己評価を付した報告書の提出とレビューを経て公表される各DPFへの評価結果は、今後のDPF運用のみならず、「DPF取引透明化法」の運用においても大きな試金石となりそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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