〈EC事業者〉 進む店舗スタッフ活用/投稿コンテンツが多様化、新たな課題も (2022年3月31日号)

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ユナイテッドアローズはECサイトでライブコマースを配信

ユナイテッドアローズはECサイトでライブコマースを配信

 コロナ禍の2年間で、店舗スタッフをECサイトのコンテンツやサービス強化に活用する動きが進化した。チャット接客やライブコマースから始まり、店舗スタッフが商品の着用画像や説明画像を投稿する「スタッフコンテンツ」が一気に普及した。「スタッフコンテンツ」に動画投稿機能が追加されるなど、表現の幅も広がっている。一方、店舗スタッフが「スタッフコンテンツ」の評価制度を逆手に取り、露出狙いのコンテンツを多数投稿することで、ECサイトのユーザビリティーが低下する事例もあるという。店舗スタッフのEC活用が進む中で見えてきた変化や課題について分析する。

 コロナ禍で実店舗の通常営業が難しい期間に、小売企業各社はECサイトで売り上げを確保する取り組みを強化した。店舗スタッフをECサイトの強化に生かす施策も増え、今では定番サービスとなりつつある。
 店舗スタッフによるチャットやライブコマースに取り組む企業が増えた。ユナイテッドアローズはライブコマースをECサイト内で配信できる環境を整え、スムーズにECサイトでの商品購入へつなげられるようにしている。ECサイトの優良顧客向けのオンライン接客サービスも提供し、EC顧客のLTV向上のための取り組みを強化している。


■スタッフ投稿が活発に

 アパレルブランドでは店舗スタッフが自社商品を着用したコーディネート(コーデ)画像を投稿する施策が普及している。
 身長や体型が異なるさまざまなスタッフが投稿するコーデ画像は、モデルの着用画像とは異なり、ユーザーにとっても着用イメージが湧きやすく、購入を後押しする効果が高いようだ。
 アダストリアはコロナ禍にコーデ画像を投稿するスタッフの数を3倍に増やし、ECサイトの売り上げ拡大につなげている。
 「スタッフコンテンツ」はアパレル業界にとどまらず、さまざまな業界で応用が進んでいる。インテリア業界ではスタッフが配置した家具のレイアウト画像を投稿したり、コスメ業界ではスタッフがメークした画像を投稿したりしている。


■ツール台頭が背景に

 「スタッフコンテンツ」の普及は、ツールの台頭の影響も大きい。コロナ禍前から、「STAFF START(スタッフスタート)」や「visumo(ビジュモ)」などスマホでスタッフコンテンツを手軽に投稿でき、ECサイト上で商品データとのひも付けもできるツールが登場していた。
 特に「スタッフスタート」は「スタッフコンテンツ」経由のECサイトでの売り上げなどを可視化する機能が充実している。コロナ禍で店頭に立てないスタッフが、「スタッフコンテンツ」を投稿することによるECサイトへの貢献度を明確にすることで、スタッフの評価に「スタッフコンテンツ」への取り組みを反映できるようになった。


■動画投稿も活発化

 「スタッフスタート」や「ビジュモ」は動画を投稿できる機能も備えている。スタッフが動画でアパレルの着用姿を投稿し、素材感や動きを付けたときの服の見え方を詳しく紹介している。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月31日号で)

アダストリアはコロナ禍に「スタッフコンテンツ」を拡充

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パルは「STAFF START」の動画投稿機能を活用

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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