世界的な半導体不足の影響で品薄となっていた太陽光発電や蓄電池など、住設訪販企業向けの製品供給が少しずつ回復している。品薄状態が解消されてきたことに伴い、販売店によっては売り上げが上向いており、住設訪販企業に明るい兆しが見えてきた。供給の戻り具合はメーカーによって異なるため、必要とする製品が今も手元にない販売店では、取扱製品を他社に切り替える動きもある。再生可能エネルギーの拡大に向け、法人施設の案件獲得に乗り出す訪販企業も増えている。各社の販売状況をまとめた。
■工事遅れを書面で記録
太陽光発電や蓄電池のフランチャイズ(FC)事業を展開するエナジークオリティー(本社埼玉県、大友晴喜社長)では、工事が遅れる場合の説明を口頭で行うだけでなく、書面に明記して販売を続けている。品不足の影響はほとんどない状況にあるが、「顧客によっては、製品がないメーカーを指定する場合もある。いろいろなことを考慮して口頭だけでなく、書面でも記録を残すようにした」(大友社長)。
製品は同社からFC加盟店へ送る仕組みで、納期や工事が遅れる場合でも、販売店が困らないように、資金面でもサポートできるようにしている。これにより、コロナ禍にあっても「FCに対する問い合わせは多く、加盟店の販売も好調」(同)と話している。
太陽光発電や蓄電池、オール電化などを販売する日本エコライフ(本社宮城県、佐藤政彦社長)は、メーカーや商社との連携を強めて、早期に在庫を確保する対策を講じている。販売が継続できたのは、在庫不足の可能性を考慮して、先手で動いたことがポイントだったとしている。
確保してきた在庫を同業の販売店に供給したこともあった。「在庫はメーカーや商社が奮闘してくれたおかげ。再生可能エネルギーの広がりは販売店だけでは実現できない。当社を囲む企業との連携がいかに重要か、在庫のことも含めて実感した」(佐藤社長)と話す。
コロナの影響下にあっても、テレビCMを継続して放送するなど積極的な発信を行ってきた。
■10社の製品で販売確保
太陽光発電や蓄電池のテレアポ訪販を手掛けるリベラルソリューション(本社東京都、下田穣社長)は、豊富な取り扱い製品が奏功したようだ。
他社が取り扱うメーカーは2~3社の中、10種類のメーカーの製品を取り扱ってきた。供給のあるメーカーの製品から優先して販売していく手法をとった。それでも品不足の場合は、「迷惑をかけてしまうことをきちんと説明して、工事を2回に分けて行う対応をとっている」(下田社長)。
現在も、エコキュートの供給は回復していない状況のため、エコキュート以外の販売を強化している。ただ、省エネ製品は、メーカーが異なると売り方も変える必要があるといい、メーカー協力のもと、製品についての研修をこまめに実施してきた。「きちんと理解していないと、顧客満足度は上がらない。これまでの取り組みが奏功している」(同)と感じている。
太陽光発電や蓄電池の訪問販売を手掛ける新日本エネックス(本社福岡県、西口昌宏社長)では、工事が遅れてしまう顧客に、ギフトカードを提供してきた。「1万円程度のギフトカードをかなり配ったと思う」(西口社長)。
品不足は徐々に回復しているが、先が読めない外的要因には気をもんでいる。「ロシアとウクライナのことも、どのように影響してくるのか予測できない。こうした中でメーカーも在庫確保のために地道に動いている。引き続き、世の中の動きには注視していきたい」(同)と話している。
■逆風でもFC好調
エナジークオリティーはこのほど、ホームページを刷新した。ブランディングの強化だけでなく、推進するFC事業を訴求する内容を盛り込んだ。
(続きは、「日本流通産業新聞」3月3日号で)
〈住設訪販企業〉小売店向け工事案件増えて収益化も 製品供給が回復傾向に/販売上向き、明るい兆しも (2022年3月3日号)
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