〈改正特商法〉 全事業者がサイト改修必要?/定期購入規制ガイドライン案に懸念の声相次ぐ (2022年1月20日号)

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 22年6月1日施行の改正特定商取引法について、政令・省令・ガイドラインの案が出そろい、通販の定期購入規制の全貌が見えてきた。これに対して、事業者や事業者団体からは、反発や嘆きの声が上がっている。(一社)新経済連盟(新経連)は、「(原案のまま進めば)ほとんどの通販事業者のシステムに何かしらの改修が必要になる」と指摘する。新経連では、施行日までの期間の短さも踏まえた上で、「コストの負担が大きな問題となる」とみている。(一社)日本経済団体連合会(経団連)も「事業者に周知され、改修が実現するまでの時間が足りない」と懸念する。健全な事業者にまで多くの負担を余儀なくさせる、規制の掛け方に、業界からは、問題視する声が挙がっている。消費者庁の今後の対応が注目される。

■タイムセールは注意が必要

 消費者庁では21年11月24日、改正特商法に関して「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン(案)」を公表、同日から1カ月間、パブリックコメントを募集した。
 ガイドライン案では、通販サイトでの取引において、消費者を誤認させないための表示の具体例などが示されている。
 例えば、ガイドラインでは、「最終確認画面において表示を行う際には、表示事項について当該画面上で分かりやすく表示すること」を求めている。定期購入契約の場合は、「各回の代金(2回目以降の代金が異なるような場合、各金額を表記)」「消費者が支払うこととなる代金の総額」「割引価格から通常価格への移行時期や金額」などを、明確に表示しなければならないとしている。無期限のサブスクリプションの場合には、「その旨を明確に表示する」「一定期間を区切って分量を明示する」ことなどを求めている。
 ただし、申し込み最終ページに必要事項を全て記載することが難しい場合は、消費者が明確に認識できるような、リンク表示による参照ページやポップアップなどで、当該事項を表示するなど、「容易に参照できるようにする」方法も認めている。
 購入期限のカウントダウンセールや、期間限定のタイムセールなど、「一定期間を経過すると消費者が商品自体を購入できなくなる」売り方を行う事業者も注意が必要だ。取引を行う際に「申込みの期間に関する定めがある」場合、具体的な期間を明記する必要があるとしている。「今だけ」といった表示では不十分だとしており、具体的な期間の表示方法として、「商品名欄等において商品名に併記する方法」「バナー表示を置く方法」「リンク先や参照ページ、ポップアップなどで表示される画面等に詳細を記載する方法」などを例示している。


■システム改修必須か

 業界団体からは、ガイドライン案に対して反発・批判・懸念の声が上がっている。新経連も声を挙げた団体の一つだ。新経連は21年12月23日、消費者庁に対して意見書を提出し、その内容を発表した。新経連は、「原案(ガイドライン案)については、悪質かどうかや定期購入のビジネスモデルであるかどうかは関係がなく、ほとんどの通販事業者のシステムに何かしらの改修が必要になる」と主張している。
 改正法施行日(22年6月1日)までの期間の短さも、問題視している。ガイドラインに沿った変更を6月1日の施行日までに行わない場合、処罰の対象になる可能性があるからだ。
 新経連は「コストの負担が大きな問題となる」とも指摘する。消費者庁に対して、「対応が困難になることが考えられる可能性があることから、何かしらの配慮がなされることを要望」している。


■短い準備期間に改修発注殺到も

 同様の声は、経団連からも挙がっている。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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