東和薬品/三生医薬の全株取得へ/取得価額は477億円 (2022年1月13日号)

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 ジェネリック医薬品事業を主力に展開する東和薬品は21年12月17日、健康食品OEM大手の三生医薬(本社静岡県、石川泰彦会長兼社長)の全株式を取得し完全子会社化すると発表した。22年3月7日までに全株式の譲渡を受ける。取得価額は476億9400万円だという。
 三生医薬は、静岡県内に4製造拠点・5包装拠点を展開し、ソフトカプセルを主軸とした健康食品OEM事業を行っている。2020年12月期の売上高は228億9200万円。営業利益は21億2900万円、経常利益は19億7400万円、当期純利益は11億4800万円となっている。総資産は291億2100万円、純資産は149億2500万円。21年10月時点の従業員数は690人となっている。
 米国の投資ファンドであるカーライル・グループから東和薬品が具体的な買収の提案を受けたのは、21年6月ごろだという。その後交渉を重ね、合意に至った。
 買収の目的について東和薬品では「優れた技術を備えた健康食品のトップOEMメーカーの1社であり、東和薬品の事業とシナジーを生み出せると判断した」(広報)と言う。「東和薬品はジェネリック医薬品専業で展開し成長を遂げてきた。ただ、今後の国内の人口減少の中で、医薬品事業がこれまで通りのペースで成長を続けられるかというと限界はある。そこで、21年から始まる3カ年の中期経営計画では、医療用医薬品以外の分野への展開を模索することを盛り込んでいた」(同)とも説明する。
 「予防・未病」の需要を取り込める健康食品市場には、今後も長期にわたって成長性が期待できると判断したという。東和薬品では健康食品市場について、「今後も年間1%前後のペースで成長していく」とみているという。
 東和薬品では、同社のオリジナル健康食品の開発製造を、三生医薬で行っていくことも視野に入れているという。
 三生医薬を高く評価したポイントとして、東和薬品では(1)独自開発の「ユニオーブ」を始めとした、最先端の製剤技術(2)医薬品GMPレベルの優れた品質管理(3)機能性表示食品の豊富な開発実績を含め、健康食品OEMとして蓄積してきた、充実したノウハウ─などを挙げている。
 「ユニオーブ」は、有効成分を含むゲルと、不溶性粒子の外層からなる皮膜粒子。同技術は、微量成分の含量均一性の確保など「扱いやすさの向上」に貢献する。吸収性・安定性の向上、苦みのマスキングなど「配合成分の弱点のカバー」にもつながるという。
 三生医薬では、「ユニオーブ」専用の製造設備として「イノベーションセンター」を22年に竣工予定だ。
 三生医薬に、東和薬品の医薬品の製造を担わせるか、また担わせる場合、どの程度かなどについては「現時点では未定」(同)としている。三生医薬の買収後の経営体制なども「現時点では未定」(同)だという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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