小学館(本社東京都、相賀社長)は現在、EC事業の強化を進めている。主力である出版コンテンツとのシナジーを創出しながら、ユーザー獲得を進めている。24年1月には、自社ECの総合モール「LIFETUNES MALL」(ライフチューンズモール)のカートシステムを入れ替えるなど、大幅なリニューアルを図った。24年の通販事業の展望について、通販事業センターの小倉康広プロデューサーに話を聞いた。
■メディア生かしたECサイト
─小学館のECの特徴は。
小学館が発行するメディアの読者のニーズを理解している各編集部と連携しながら、オリジナル商品を開発している。読者層に応じた効果的な商品を展開しているのが特徴だ。
ECサイトは、自社で発信するコンテンツの性格に合わせて、四つのモールで構成した。それぞれ媒体名を冠したショップを出店しており、各媒体の読者が訪れる形になっている。
─これまでの通販展開については。
22年9月に、小学館のECを統括する「LIFETUNES MALL」へブランドをリニューアルし、現在は約75万人の登録者を獲得している。
雑誌などの読者はこだわりが強い傾向にある。そうしたユーザーに対して、上質な高単価品を展開して、「選ばれる」商品を取りそろえ、訴求している。
─ユーザー層や売れ筋商品の傾向は。
雑誌の読者層と同じ傾向で、モール内のショップによってユーザー層は異なる。例えば、雑誌『サライ』などのショップがある「小学館百貨店」では、比較的年齢層が高い男性ユーザーが利用している。
また、小学館の漫画原作とのコラボ商品を展開する「少年サンデープレミアムショップ」では、版権を有する出版社の強みを生かし、積極的に漫画グッズを展開している。ここでは読者アンケートでユーザー層を把握しており、そこに適した商品を提供する。例えば複製原画などの高単価品も、原作ファンを中心に売れ行きが好調となっている。
ECを強化しつつも、紙の通販も引き続き受注体制を整備している。特に「小学館百貨店」は、約6割が電話や申込書からの注文だ。ECの比率を高めるのはもちろん重要だが、それ以外の注文受付の方法も欠かさない。紙を通じて電話や注文申込書を郵送・FAXすることに安心感を抱く顧客が多いとみている。
■モールinモールの形を
─24年1月15日、「ec―being」の導入を発表した。狙いは。
「LIFETUNES MALL」は、
(続きは、「日本ネット経済新聞」2月1日号で)
<プロフィール>
おぐら・やすひろ氏
大学卒業後、小学館に入社。雑誌の編集業務に長年従事し、雑誌『サライ』の副編集長などを歴任した。現在、編集職の経験を生かしながら通販事業を統括している。
【小学館 ユニバーサル事業局・通販事業センター 小倉康広プロデューサー】 <自社EC総合モールを大幅リニューアル> 読み物コンテンツとのシナジー強化(2024年2月1日号)
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