〈インタビュー〉らでぃっしゅぼーや 国枝俊成代表取締役社長/〝リカバロー〟で業績回復目指す

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 食品宅配のらでぃっしゅぼーや(本社東京都、国枝俊成社長)は、16年2月期を初年度とする3カ年の中期経営計画を策定し、ドコモショップを介した新規会員獲得に力を入れる。取り止めていた新聞折り込み広告も再開し、シニア市場の開拓に注力する。ドコモショップやネットから集客した会員に対し、営業マンによる対面のアプローチを加えることで、定期購入の契約を広げていく考え。14年5月に社長に就任した国枝俊成氏に就任後の取り組みや今後の事業展開について聞いた。

提案をよりシンプルに

 ─国枝社長のこれまでの経歴を教えてください。
 NTTの前身である電電公社に、エンジニアとして入社しました。30代までは技術の仕事に従事し、40代はマネジメントの仕事を担うようになりました。03年にNTTドコモに転籍になり、国際事業に関わるM&Aを7年経験してきました。らでぃっしゅぼーやの社長に就任するまで食品に関わったことはありません。就任を打診されたときは正直驚きました。当社では年に5回、地域ごとの契約農家が集まる「ブロック集会」を行っています。就任後は、全国のブロック集会に出向きました。まずは私が、らでぃっしゅぼーやのことを積極的に知ろうという気持ちでした。
 ─海外での仕事も多かったようですが、国内のオーガニック市場をどのように見ていますか。
 日本の人口から考えれば、オーガニック市場は小さいと感じます。あるデータによると、国内のオーガニック市場は1500億円前後。人口から考えれば、理想では1兆円程度の市場規模があってもいい。まだまだ潜在ニーズを掘り起こせるものと考えています。
 ─減収が続いていますが、業績の回復が命題なのでしょうか。
 売り上げはリーマンショック前の08年2月期がピークで、その後じわじわと減収が続いています。まずは、どうやって業績を反転させようかという思いでした。私が就任する前から取り組んできたドコモショップで獲得した新規入会からの定期宅配会員への移行が想定通りに進みませんでした。ドコモの契約者は6300万人いますが、このうちオーガニックに関心のある人はひと握りに過ぎないこともあり、宅配会員移行までのハードルが高かったと感じています。こうした課題を解決するために、14年秋以降は、ドコモショップ専用の定期宅配商品「らでぃっしゅセレクション」を投入することにしました。ドコモショップでの提案をよりシンプルにすることで、まずは商品を試してもらうことに主眼を置きました。店頭で会員になった人には、後日、当社の営業マンが訪問してフォローを行い、宅配への誘導を図っています。ドコモショップの位置づけは「レスの獲得を得るためのチャネル」とし、顧客との接点をさらに広げようと考えています。


対面回帰で業績回復へ

 ─15年2月期は下期から業績が回復基調にあると聞きます。
 15年2月期は増収増益になる見通しです。下期から積極的な営業を展開する社内プロジェクト「リカバロープロジェクト」に力を入れています。これは「リカバリー」と「頑張ろう」の造語で、スローガンに掲げました。企画の内容は、14年9月後半から11月の計10週間に渡って、営業の特別部隊を編成し、定期宅配会員への移行が見込める確度の高い会員宅を訪問する営業を展開しました。例えば、ウェブから資料請求する人やドコモショップで購入を続けている人などを対象にしています。ドコモショップで勧誘を始めてから、それまで実施していた個別訪問の営業は控えていました。しかし、さまざまな契約方法を検討した結果、定期宅配へ移行するためには、営業マンが自宅へ訪問してサービス内容をきちんと説明する方法が現在は最も効率が良いと判断しました。その結果として、短期間に定期購入の会員を獲得することができ、今期は増収を達成できる見通しです。今後は、ドコモショップとネット通販、訪問という3つのチャネルを生かしていきます。

(続きは本紙2月19日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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