「靴下屋」などを全国に280店舗を展開するタビオは、ECサイト「Tabioオンラインストア」と店舗の連動を強化している。16年9月に開始したスマホアプリの会員数は1年半で約57万人に増加。店頭ではタブレット端末を活用した接客に加え、ネット注文した商品の受け取りができるようにするなど、オムニチャネル戦略を加速させている。18年2月期のEC売上高は前年と比べ3割増を達成(数値非公表)し、着実な成果につなげている。取締役戦略ビジネス本部長の真砂輝男氏に好調の背景や今後の事業戦略を聞いた。
■在庫確保が奏功、EC3割増
─オムニチャネルを推し進めています。計画の進捗はいかがですか。
16年9月にスマホアプリを稼働させ、現在までに57万人の会員が登録しています。そのほか、ネットで注文した商品を店頭で決済、受け取りができたり、タブレット端末を活用して店頭で接客ができるような仕組みを17年10月に導入しています。
海外展開も進めており、17年10月に米国で事業を開始しました。米国では日本のような実店舗がありませんが、DtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)という形で始めています。
─18年2月期の業績が伸びた要因を教えてください。
当社は自社サイトのほか、楽天市場、ゾゾタウン、ヤフー、アマゾン、ロハコに出店していますが、特に楽天市場が大きく伸びています。楽天が実施するキャンペーンに積極的に参加したほか、サイトの見せ方の改善を進めたことで受注を伸ばすことができました。楽天で集客し、自社サイトへ誘導することを狙っています。売り上げは自社サイトとモール系が半々となっています。
前年はオペレーションについて細かくPDCAを回したことに加え、在庫のロジックを大きく見直しました。当社は、店頭とネットの出荷倉庫を同じにしています。注文が入ると、共通の在庫を引き当てます。しかし、店舗からの注文が集中する時間帯については、店舗を優先していました。そのため、ECの在庫切れを起こすこともありました。
17年7月下旬からこうした状況を見直し、ウェブの在庫を確保することで販売する商品数を増やすことができ、これが増収に貢献しました。
─店舗との連動施策について具体的に教えてください。
ECサイトで注文すると、希望する店舗での受け取りが、店頭で決済せずにできるようにしました。
また、来店客が会員登録していれば過去の購入履歴をもとに店員は接客できるようにしています。スマホアプリが会員証になっており、店舗で見せたり、アクションを起こすことでポイントを貯められるようにして、お客さまとのタッチポイントを増やしています。
ただ、在庫のない商品をその場でネットで注文する場合は、店舗の売り上げとして計上しており、純粋なEC売り上げを図ることが難しくなっています。
(続きは、「日本ネット経済新聞」6月7日号で)
【〈店舗とECの連動強化へ〉タビオ 真砂輝男 取締役 戦略ビジネス本部長】スマホアプリ57万人に、EC売上3割増
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