【ヤフー ショッピングカンパニー営業本部 畑中基 本部長】コマース事業を強化/ソフトバンクユーザーから新規開拓

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 ヤフーがショッピングを含めたコマース事業を強化している。国内のEC化率は約6%で、今後の成長余地が見込めるからだ。ソフトバンクユーザーに対するポイント10倍の付与や、無料でライブコマースを提供するなど、ヤフーショッピングへの出店者に対する販促策も相次ぎ提供している。ショッピングカンパニー営業本部の畑中基本部長に、ヤフーショッピングの現状や今後の方向性を聞いた。

■出店者数は60万店超

 ーーーショッピング事業で今期、最もインパクトが大きかった取り組みは。

 「世の中的にもインパクトがあったと思うが、ソフトバンクユーザーに対するポイント10倍だ。これが最大級だと思う。お客さまやストアさんからの反響も大きかった。ヤフーショッピングの流通総額を見ても明らかで、第2四半期のショッピング事業による流通総額は、前年同期比39.1%増の1407億円となっている」

 ーーーヤフーショッピングへの出店者によると、ソフトバンクユーザーはEC慣れしていない新規のユーザーが獲得できると聞いています。

 「新規のお客さまがすごく増えている。要因としては三つほどあり、一つはEC慣れしていない、あまりECを利用されたことがないお客さまが増えているということ。さらに若年層が増えている。ヤフー全体が30代後半から40代が中心のユーザーだが、ソフトバンクユーザーは比較的若い人たちが多いからだ。三つ目は女性のお客さまが増えている。ヤフー全体では6対4で男性ユーザーが多いが、ソフトバンクユーザーは男女がほぼ半々と思われているので、若年層や女性が増えているという点については、数字からも分かるし、ストアさんからの声や、カテゴリーからも顕著となっている。一回買ってもらえば、お得だと実感してもらえて、高いリピート率にもつながっている」

 ーーーヤフーショッピングへの出店者数は。

 「17年9月末時点で累計60万店以上だ」

 ーーー宮坂学社長はコマース事業の強化を表明しています。ヤフーがショッピングを含めたコマース事業強化を進めている理由は。

 「国内のEC化率は約6%で、その数値は欧米や中国に比べれば小さく、成長余地が見込めるからだ。インターネット業界のみならず世の中的にも、これだけ伸びる余地がある産業はあまりないと思う。そこに対して今から力を入れて柱にしておけば、将来的には大きなビジネスとして成り立つことが期待できる。ヤフーのみならず、ソフトバンクグループ挙げて、ヤフーショッピングを盛り上げようということで取り組んでいる」

 ーーーコマース事業の拡大は、ヤフーの他の事業やソフトバンクグループへの波及効果を見据えてということですか。

 「はい。ソフトバンクユーザーに対するポイントが得となれば、ソフトバンクから他社キャリアへのチェンジもなくなるし、スマホを買い替える方にとっても、ソフトバンクだったらヤフーショッピングでポイントが10倍たまるから得だということになる。ヤフーにとっても決済や広告事業などへの相乗効果が見込める」

■ライブコマースは伸びる

 ーーーヤフーショッピングの出店者の中で比較的好調なショップの傾向は。

 「家電やPCなどの型番系を扱うストアさんが伸びている。同じ商品でもポイントの効果によって他社より得になるケースが多いからだ。さらに昨年8月、ヤマダ電機さんが出店されてから、いい意味での競争が始まっており、他の家電ストアさんも、われわれが付与するポイントに加え、ストアさんが独自にポイントを付与するなど販促を強化することが増え、お得感を提供している」

 ーーー新たな商品紹介の一つとしてライブコマースを導入しました。それに対する反応はいかがですか。

 「大多数のストアさんが、何をどうしたらいいのか分からないという状況で、われわれの営業のところに〝どうやればいいのか〟と聞きに来られて、アドバイスしている状態だ。無料で提供しているが、実際にライブコマースを実施しているのはまだまだ少ない。ただ、そこから注文が来るというよりは、60万ストア以上ある中で、名前を覚えてもらったり、ストアのプロモーションとして利用されたりしている。利用されているのはキャラ立ちしているストアさんが比較的多く、テレビショッピングとは全く違う形だ。ライブコマースや動画広告は、今後伸びていく分野だと思う」
(続きは、「日本ネット経済新聞」2月15日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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