【ソニー 小田島 伸至 新規事業創出部担当部長】直販サイトを新設マーケティングに活用

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
小田島伸至氏

小田島伸至氏

ソニーは今年7月、ECサイト「First Flight(ファースト・フライト)」を新設した。ECサイトにクラウドファンディング機能も持たせており、新商品の需要を探るためのマーケティングの一環として運用している。社内から提出される商品開発プランを、早急に事業化する役割を担っている。新規事業創出部の担当部長の小田島伸至氏にサイトの特徴や狙いについて聞いた。

—事業の概略とサイト開設の経緯を教えてください。

 14年4月に、新規事業を発掘するプログラムを始めました。これは既存の事業部の枠内では開発が難しかった商品でも、社内の技術を使えば開発できそうな案件を一同に集めることを目的としています。しかし、商品化する前に、どれほどのニーズがあるのかを測りたいと考えていました。
 手段を模索している中で、クラウドファンディングがマーケティングとして適していることに目を付けました。他社のサイトを使って、電子ペーパー製の腕時計「フェスウォッチ」の反応を探ったところ、サイトに付いているコメント機能に閲覧者から機能追加などの要望が寄せられました。社内では思いつかなかったようなコメントが多く、その経験でクラウドファンドが顧客とのタッチポイントとして優れていると判断しました。これが「ファースト・フライト」開設のきっかけです。

 —新しくサイトを立ち上げた理由は。

 従来のサイトは、支援の募集が終わると同時にコメント機能も終了してしまうものでした。
 開発段階や実際に販売する際にも、コミュニケーションを継続したいと思ったのですが、既存のクラウドファンドでは継続してコメントできるサイトがありませんでした。
 ならば、コミュニケーションと販売する場所を融合したサイトを自社で作ろうと考えたのです。

—商品の開発から販売までの流れを教えてください。

 開発案を3カ月に1回のペースで募集したところ、年間450件が集まりました。その中から興味深いものを選び、チームで試作品を開発します。ここでは大金を投じずに、仮説を検証するステージとしています。
 3カ月後にサイトで売れるのか、競合商品との差別化はあるかどうかをみて、問題がないと判断したら商品をクラウドファンディングに出す段階となります。
 3カ月で2商品の支援を募集することを目標としていますが、訪れたらワクワクできるサイトを目指しているため、数ではなく質にこだわっています。各商品の目標額と期間などは、チームが設定をします。

(続きは日本ネット経済新聞 9月10日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ