〈生協の18年3月期〉 アプリ、ネット活用で堅調/ネットスーパーなどに対抗

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
記者会見で、食品ECや食品宅配との競争激化について見解を示す本田英一会長(写真中央)

記者会見で、食品ECや食品宅配との競争激化について見解を示す本田英一会長(写真中央)

 全国の地域生協が加盟する日本生活協同組合連合会(以下日生協、本部東京都)の無店舗事業の売り上げが堅調に推移している。18年3月期における宅配事業の売上高は前期比1.2%増。組合員に対する通販事業の売上高は同2.5%増の471億円、EC売上高は同6.1%増の44億6900万円だった。日生協は19年3月期の経営方針としてIT化の推進を盛り込み、ウェブからの新規組合員加入を促進していく。地域生協では週1回の定期配送だけでなく、産地や工場から直送する仕組みやスマホによる配送日指定を取り入れて利便性を向上。アマゾンフレッシュやオイシックスドット大地などのEC専業、イオンなどが手掛けるネットスーパーに対抗する。

 「週1回の定期的に配送する生協の宅配の仕組みは、生産性からすれば最強の仕組みだ」。6月15日に都内で開催した記者会見の席上、本田英一会長は食品EC専業や他の食品宅配企業との競争環境の激化について見解を示した。
 この自信を裏付けるように日生協の直近業績が堅調だ。18年3月期の宅配事業の売上高は同1.2%増で、このうち個別宅配は2.6%増の1兆1481億円だった。組合員数は同1.8%増の2144万人で世帯加入率は37.2%だった。宮城県や新潟県など5道県では世帯加入率が5割を超えた。
 生協と競合する食品宅配・ECでは、オイシックスドット大地がらでぃっしゅぼーやと経営統合し、有機・低農薬EC・宅配の分野でシェア拡大を目指す。イオンは4月から週1回の定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」を千葉県内で開始するなど業界内の動きが活発だ。
 これを受けて、日生協の嶋田裕之代表専務理事は「首都圏では消費者の選択肢が広がっている。生協としては、原点である組合員とのリアルの対話を通じ、サービスの改善を進めていきたい」と話す。さらに「週1回配送の仕組みは維持しつつ、サービスの拡充を検討していきたい」と、今後も宅配を軸に成長する考えを示した。


■地域生協でネット活用進む

 日生協が発表した19年3月期の事業計画では、ITやAI(人工知能)といった技術を積極的に活用することで、若年層を中心とした子育て層の加入促進や人手不足を解消する方針が盛り込まれている。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ