【2023年EC市場を予測】 苦境から新領域へ挑戦を(2023年1月12日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 2023年のEC市場は、行動制限の緩和や物価上昇などの影響により、コロナ以降続いていた市場の成長が鈍化しそうだ。国内のEC市場が苦境を迎えつつある中で、「BtoB」など、新たな領域に果敢に挑戦するEC企業が増えている。自社でしか提供できない唯一無二の商品・サービスを携え、ウサギのごとく跳ね上がる一年にしたいところだ。

 23年は、EC市場の成長が鈍化すると予測する専門家が多い。行動制限の緩和などに加え、広告費の高騰などは、ECの新規顧客獲得にとってマイナス要因となりそうだ。
 本紙がこのほど、EC事業者やEC業界の有識者、計65人に対して行った、「23年のEC市場に関するアンケート調査」で、「23年のEC市場の活性化に必要なことは何か」と質問した。これに対して34人(52.3%)が、「新たなマーケティング手法の開発」を挙げた。
 EC企業各社では、新しい販促手法にチャレンジすることを、積極的に検討しているようだ。
 より具体的に、「実店舗との連携」や「魅力的な情報発信を行うコミュニティーの生成」などを挙げる企業もあった。ECから実店舗、SNSまで、各チャネルを横断的に販促に活用する「ユニファイドコマース」や「OMO」といった施策にも注目が集まっているようだ。
 専門家の中には、「成長性の高いBtoB―ECに参入する好機だ」と指摘する人もいた。DIY用品のECを展開する大都は、23年2月に工具やパーツのBtoB―ECに参入するという。MonotaROが独占するBtoB―EC市場に挑戦する考えだ。BtoCのECで培ってきたノウハウが生きるのか、注目したい。
 菓子材料のECでも、カフェなどに対するBtoB―ECのニーズが高まっているという。まだ手付かずのままのBtoB―EC市場は残されていそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ