台湾特集/3兆円規模に、インフラも整備/日本企業に商機あるか

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台湾で初めて開催されたEコマースエキスポ・アジア

台湾で初めて開催されたEコマースエキスポ・アジア

 台湾のEC市場は14年に総売り上げが3兆円を超え、2桁成長を続けている。都市部では、日本に近い水準で物流や決済環境が整備されている。現地では海外ECサイト利用への関心も高いが、楽天などモールサイト事業者を除けば日本からのEC事業者の進出事例は少ない。台湾で普及しているECモールサイトにない特色を出せれば、日本企業の新たな商機になると期待する声が上がっている。    (2―4面に関連記事)

モールサイトが占有
 台湾のEC市場では、「楽天市場」のようなモールサイト経由での取引が主流だ。台湾の産業情報研究所によると、14年に台湾で独自サイトだけでECを行っている事業者は全体の2%ほどだった。
 返品保証などにより、店舗に対する信頼性が高く、24時間以内の配達など物流網が整備されているモールサイトの利用に人気が集まっている状況だ。
 モールサイトでは、ヤフー台湾と現地企業のPChomeの運営するサイトが規模を拡大している。この2社のサイトで、現地EC利用者のトラフィックの約7割を占めるという観測もある。
 海外企業の出店・出品を受け付けているモールも多く、台湾を経由して中国本土に売り込むサイトも増加している。中国本土でECを行う際は、モールサイトの契約とは別途に行政機関の認可が必要となる。台湾企業の販売サービスを利用すれば、認可に必要な期間やコストを削減できる。

海外サイト利用の普及

 現地サイトの整備が進む一方、台湾の消費者は海外サイトからも積極的に商品を購入している。現地で流通のない商品や、同じ商品でも安価に購入できるものが人気を集める。
 財団法人資訊工業策進會によると、14年にECを利用した人の41・7%が海外ECサイトの利用経験があるとしている。このうち、48・9%が日本のECサイトの利用経験があると回答した。
 ECの決済手段ではクレジットカード利用率が36%に達している(ニールセン調べ)。コンビニエンスストアを使った代引きや商品預かりなど物流のサービスも充実している。
 現地のモールサイト事業者では日本からの仕入れ先を開拓する動きが目立っており、現地へのネット卸の拡大も進む可能性がある。

潜在需要に期待も調査が重要
 台湾の海外ECサイト利用者の約半数が日本のサイトの利用経験があるとの調査データは、日本製品に対する高い潜在需要があると受け止めることができる。10月6~9日に行われた台湾で初となるEC展示会を取材したところ、今後も現地でのEC市場の盛り上がりが続きそうな勢いだった。
 ただ、台湾では、日本製品の全てに関心が高まっているわけではないようだ。
 現地ですでに流通している日本製品も多く、国内の売れ筋商品を単にEC展開しても、現地事業者との競争になり、顧客獲得が進まないこともあり得る。自社が取り扱う商品に競合はあるか、また化粧品などは輸出の際に通関をパスできるかといった事前調査は台湾においても重要といえる。
 中国本土に比べて日本企業の参入は難しくないように見えるが、ECの販促企画などにおいては、日本との違いはある。
 現地では、「買二送一(2個買えば一つおまけ)」「買三件八折(3個目から2割引)」など、購入個数に応じた価格戦略が小売りで定着している。
 値下げのみでは「訳あり品」とみられ、商品に対する信頼性を損い、結果的に売れなかったという場合もあるという。現地に適した価格戦略も、日本製品のブランド力を生かすためには重要といえそうだ。

(続きは日本ネット経済新聞 10月29日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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