〈EC業界のeスポーツビジネス〉 広告・採用で有効活用進む/「ゲーム」で若年層に訴求 (2022年2月24日号)

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愛しとーとの「eサプリ」

愛しとーとの「eサプリ」

 近年、eスポーツ市場が急拡大している。その市場規模は20年に66億円になったと言われており、22年はそこから倍増するという見通しもあるようだ。この急成長するeスポーツの市場を、自社の成長に役立てようと考えるEC事業者が増えている。大会を主催することにより、企業の認知度を拡大させるのも一つの方法。チームのスポンサーになり、SNSなどを通じて商品の告知をしてもらおうと考える企業もある。広告・PRに役立てる方法は、メジャースポーツとそれほど変わらないようだ。成長途上の市場であるため、広告・PR活用を、低予算から始められる。中小企業でも始めやすいのが特徴の一つといえる。eスポーツのメインの視聴者は若年層。若年層に効果的に訴求することにより、商品の購入や、人材の採用につなげようと考えるEC企業が増えてきている。

 eスポーツの対象となるのは、競技性の高い対戦ゲームだ。野球ファンがプロ野球を見て、一喜一憂するように、ゲームファンはプロゲーマーの対戦を観戦する。eスポーツ大会のスポンサーになれば、会場での商品販売ができたり、配信時に商品やロゴが表示されたりする。オンライン配信されることが多く、ECとの親和性も高い。
 人気選手ほど、SNSのフォロワーが多くなる傾向がある。フォロワーのほとんどが、eスポーツのプレーヤーやファンだ。人気選手にSNSでeスポーツの関連商品を打ち出してもらえれば、非常に高い広告効果を発揮する。


専用商品を売り出す

 EC企業のeスポーツ市場への参入が増えている。多いのは、eスポーツ専用商品を売り出すケースだ。専用商品の中には、ゲーミングチェアやヘッドセットのように、eスポーツ用途からスタートしたものの、今やビジネス用途まで需要が拡大した商品もある。
 eスポーツ選手やそのファンの心をつかむのは、「長時間座る」「目の疲れ」「集中」といったキーワードに関連する商品だ。こういったキーワードはビジネスにも通じるところが多い。eスポーツ市場でヒット商品として、注目されるようになれば、ビジネス市場でのヒットにもつながる可能性が高いといえる。
 健康食品の通販を行う愛しとーと(本社福岡県)は20年7月、eスポーツの選手のマネージメントや大会運営を行う子会社、CSentertainment(シーエスエンターテイメント、本社福岡県)を設立した。
 愛しとーとは、eスポーツ選手用のサプリ「eサプリ」を19年に発売。「集中力の持続」や「目のケア」に役立つ点を前面に押し出し、訴求を行った。大会に協賛したり、お抱えの選手に商品のPRをしてもらったりしながら、販促活動につなげている。新商品発売の動画は、4日間で1万6000回が再生されるなど、注目を集めた。愛しとーとの中村浩之社長は、「人気選手は発信力が強い。企業側は、選手に使ってもらうのではなく、選手が使いたくなる商品を作るべき。自然な形でPRしていくことが重要だ」と話す。
 三井製糖(本社東京都)は21年3月から、本格的にeスポーツに参入した。マラソンや自転車などの選手向けに打ち出していた天然糖質「パラチノース」を、eスポーツ選手向けにも打ち出し始めたのだ。

(続きは、「日本ネット経済新聞」2月24日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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