【競争激化の宅配食EC市場】ナッシュはオフライン強化/「味」「健康」「冷蔵」差別化進む(2025年12月4日号)

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クラダシと日本郵便の資本業務提携締結式の様子(写真右=河村晃平社長CEO)

クラダシと日本郵便の資本業務提携締結式の様子(写真右=河村晃平社長CEO)

 宅配食EC市場の競争がさらに激化している。業界大手のナッシュは今年9月、冷凍宅配弁当「nosh(ナッシュ)」の累計販売食数が1億4000万食を超えたが、その伸びは緩やかになっているという。今後はデジタルマーケティングに加えてオフライン施策も強化する方針だ。フードロス支援のクラダシも資本業務提携を締結した日本郵便と共同で新たな宅配食サービスを提供する計画だ。手作りおかずの冷蔵宅配食サービス「つくりおき.jp」を運営するAntway(アントウェイ)は今年11月、約33億円の資金調達を完了し、成長投資を続けている。激戦区となりつつある同市場における有力企業の差別化戦略に迫る。

 冷凍宅配食はコロナ禍の巣ごもり需要の影響で急速に市場が拡大した。ナッシュは22年6月、「nosh」の累計販売食数が3000万食を超えた。24年2月には累計販売食数が8000万食、今年9月には1億4000万食を超えた。コロナ禍を契機にサービスの認知度が急速に拡大したことが分かる。
 ナッシュはここ数年、ユーチューバーとのタイアップに注力してきた。特にゲーム実況者との相性が良かったという。同社はタイアップするユーチューバーのジャンルを拡大し、サービスの露出拡大に取り組んできた。
 その成果もあり、24年から25年にかけて、6000万食以上を販売するなど、大きな成果を上げてきた。
 ただ、現在は販売食数の伸びが緩やかになっているようだ。
 ナッシュによると、「競合他社が増え、さらに当社としてもデジタルマーケティングはやり切った感があり、新規顧客獲得に課題がある」(担当者)と話す。
 新たなマーケティング手法の開拓を模索しているようだ。
 「勘違いしてほしくないのだが、確実にサービスは成長している。ただ数字面で見ると、24年が好調すぎたため、その反動で現在は累計販売食数の伸びが緩やかになっているだけだと見ている」(同)と話す。
 ナッシュは今後、オンライン上のデジタルマーケティングの精度を上げつつ、ポップアップの出店や、試食モニター会などオフラインの取り組みにも力を注ぐ方針だという。


■日本郵便と共同開発へ

 クラダシは24年8月に制限食の宅配食サービス「Dr.つるかめキッチン」を提供するクロスエッジを買収し、宅配食市場に参入した。

(続きは、「日本ネット経済新聞」12月4日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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