米国は突如、全世界を対象に非課税基準額(デミニミス)ルールの適用を廃止した。少額取引にも関税が課されることとなった。1年半前倒しで決行され、米国向けに展開を行う日本の事業者にも悪影響が出ているという。8月29日の廃止から1カ月以上が経過した現在も影響が収束したとは言えないようだ。
■1年半の前倒しで廃止
米国のトランプ大統領は7月30日、当初27年7月を予定していた、米国に通関する貨物に対する、デミニミスルールの適用停止を前倒しすると発表した。同ルールにより免税対象とされていた、800ドル以下の少額貨物に対して、8月29日午前0時1分(米国東部時間)から関税が課される。
適用される関税率は、輸入品目の原産地と輸入方法によって決まる。日本産商品の通関時の適用税率については15%となる。
■日本事業者への影響は?
米国向け越境ECを展開する日本事業者には、商品の価格に関係なく、一般貨物輸入と同様の、輸入手続きとペーパーワークが求められることになった。日本貿易振興機構(ジェトロ)は、「日本事業者の負担が増えた。取扱商品数・ジャンル数が多いほど作業量は増え、難易度が高まる。自社が配送する商品のコード分類(HSコード)を正確に把握して割り振ったり、原産国の把握の申告を行ったりする必要がある」(デジタルマーケティング部ECビジネス課の志賀大祐氏)と指摘する。
手続きに不備があれば、書類不備による通関遅延などのリスクが生じるようだ。
ジェトロによると、通関のリードタイムが伸びていると訴える、複数の事業者がいるという。背景には、正確な「HSコード」の確認などの作業負担増があるようだ。
「サードパーティ(専門業者など第三者機関)各社の対応は、DDP(輸入者が通関時に負担すべき関税・諸税などを輸出者が負担する仕組み)として発送する方策を取っている」(志賀氏)と話す。例えばeBayジャパンでは9月24日、10月17日以降に発生した取り引きについて、日本からの米国向けの商品は原則DDPでの発送を必須化すると発表した。
■従来比3~4割減
同ルール廃止により、日本の越境EC事業者は、販売時に米国消費者から、商品代・配送代と併せて関税を前受けで収受する仕組みを構築する必要が出てきたという。
越境配送支援のECMSジャパン(本社東京都)の小松英樹社長によると、
(続きは、「日本ネット経済新聞」10月2日号で)
【米国越境EC】少額取引の関税免除廃止で波紋/「消費減」「リードタイム増」など影響続々(2025年10月2日号)
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。


