【有力コールセンターの強みに迫る】第5回 <大手アパレル企業から導入されているウェブ接客サービスとは> 日本トータルテレマーケティング 執行役員 野上三四郎氏/CVR7倍超えも(2023年7月6日号)

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野上三四郎氏

野上三四郎氏

 日本トータルテレマーケティング(本社東京都、森真吾社長)が提供するウェブ接客サービス「ОMОTE(オモテ)」は、大手アパレル通販企業や化粧品通販企業からの導入が続いている。コールセンター企業の中にも、ウェブ接客のサービスを提供している企業はあるが、同社はオペレーターにアパレルや化粧品に精通している人材を採用したり、相手のニーズを引き出すマニュアルを作成するなどして、一歩進んだ接客対応を提供している。その結果、あるアパレル通販企業では、「ОMОTE」導入後のCVR(購入率)が、導入前と比較して、約7倍に伸長したという。野上三四郎執行役員に、「ОMОTE」の詳細と、強み、他社と異なる点、成功事例などを聞いた。

■顧客のニーズを発掘

 ─改めて貴社が提供するウェブ接客サービス「ОMОTE」について伺いたい。
 「ОMОTE」は一言でいうと、チャットと電話を掛け合わせたハイブリットなウェブ接客サービスだ。「ОMОTE」では、チャットや電話で顧客から疑問を寄せられたときにすぐに疑問を解消して、商品の購入につなげられるほか、電話を寄せられた1週間後に商品の購入につながることもある。
 1週間経過した後でも、商品の購入につながることは珍しいだろう。通販・ECではその場で商品購入につながらないことも多い。決して忘れることなく、いろいろ考慮した結果、最終的に購入につながるのは「ОMОTE」の特徴の一つだと考えている。
 ─なぜ1週間経過した後でも購入につながるのか。
 ”虎の巻”が存在するからだ。一例だが、洋服を購入するかで迷っている顧客がいたとする。
 その際、顧客が疑問に思っていることを解消しつつ、「このアイテムはこういう使い方以外にもこのように使ってもらっている」「商品ページの記載以外にもこのような着用も最適だ」などを提案している。
 顧客の疑問以上に、顧客が心の底で抱えるニーズを掘り起こすことで、時間が経っても、顧客は商品を忘れることなく、購入につながっているというわけだ。


■店舗接客経験者を採用

 ─それだけの接客を実現するにはある程度の知識量が必要なはずだ。教育で情報をインプットしていくのか。
 教育で伝えていくこともあるが、そもそもアパレルや化粧品に詳しい人材を採用している。コロナ禍でアパレル企業では実店舗が閉店して退職した人もいる。そのような職務経験のある人をオペレーターとして採用することで、アパレルの専門知識を兼ね備えた人を迎え入れることができている。
 この経験者を採用することは大きい。電話をかけてきた人が青色のシャツを探していて、「この青色よりも薄い色はないのか」と聞かれたとき、過去の経験から、「この青色よりも薄い色を好む人は、この色かこの色を好むはず」と推測できる。
 そして、追ってメールで伝えることで、1週間経ったあとでも、商品の購入につながりやすくなるのだ。
 もちろん、その土台の上に各種検定資格などの取得や電話対応の接客方法も伝授している。より技術を学び、さらに幅広い接客対応を支援している。
 ─他社の有人のウェブ接客サービスでは、対応時間が午後7時までなど制限がある。貴社は時間制限を設けているのか。
 設けていない。「ОMОTE」では在宅勤務での勤務を可能にしている。通販の購入のピーク時は夜10時~午前朝2時までだ。その時間帯にもちろん電話で問い合わせする人もいる。その時間帯でも、きちんと対応者を用意することで販売機会の損失を防いでいる。
 ─導入事例を聞きたい。
 あるアパレル企業では、CVRが2%ほどだったが、「ОMОTE」導入後は15%まで上昇した。化粧品企業では、応対満足度が94%を達成した事例もある。業界の知見や経験豊富な人員を配置することで高い満足につながる応対を実現した。
 ─今後のどのようにサービスを進化させていくのか。
 先ほど申し上げた人材も一人一人で強みが異なる。同じアパレル専属のオペレーターでも、購入につながるキーワードや導線は異なる。
 今後は電話をかけてきた人の悩みをAIが判断し、この悩みを最適に解決できるオペレーターに電話をつなぐ仕組みを構築していく。より確実に購入につながる体制を整えていきたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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