【ヤフー 畑中基執行役員】 〈「ヤフーショッピング」流通額減少の真相は〉LINEやPayPayとの連携で復調へ(2023年8月31日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 ヤフーが運営するECモール「ヤフーショッピング」は、依然として厳しい状況が続いている。本紙では以前、「ヤフーショッピング」の23年3月度の流通総額が、前年同月比約30%減になったと報じた。その後も流通額は前年と同水準には回復していないという。ヤフーの畑中基執行役員は、「23年6月度の流通額は前年同月と比べて下回っている。今後、流通額復調の鍵はLINE(ライン)とのID連携になる。LINEとヤフーとPayPay(ペイペイ)のグループを横断した『LYPプレミアム会員』への登録を促し、会員限定の販促などを強化し、立て直しを図る」と説明する。「ヤフーショッピング」流通額減少の原因や、現状の取り組み、今後の復調の鍵となる「LYPプレミアム会員」の詳細などについてまとめた。

■「売れなくなった」の声

 ─「モール統合後、『ヤフーショッピング』で売れなくなった」との声をよく聞く。現状をどう捉えているのか。
 当社は昨年10月、「ヤフーショッピング」と「PayPayモール」を統合し、「新生ヤフーショッピング」として再始動した。そのタイミングで毎週日曜日にソフトバンクモバイル契約者に向けて実施していた「毎週日曜日は最大10%相当戻ってくる!」キャンペーンを終了した。
 その代わりに新たに「毎日5%」(キャンペーン支払い条件、上限あり)を開始した。ユーザーは日曜だけでなく毎日、お得に特典を得ることができるようになった。だが、還元率などの面でキャンペーンの魅力が低下したとみられる。


■流通額減は分かっていた

 ─なぜキャンペーンを変更したのか。
 変更せざるを得なかった。当社は今まで広告事業で稼いできて、その儲け分をコマース事業の販促費に充ててきた。だが、昨年の秋ぐらいから、米国の金利が上昇したりして、広告事業が伸びなくなった。そのため、コマース事業にも、販促費を割けなくなり、結果として「ヤフーショッピング」で販促を打ちたくても打てないという歯がゆい状況に陥った。それが、大体22年10月~23年3月頃の出来事だ。
 実は以前から今期の「ヤフーショッピング」の流通額が下がることは分かっていた。だが、IRの関係もあり、それを出店者に伝えることができなかった。出店者の皆さまには大変申し訳ないと思っている。今は、私が実際に出店者に伺って事態の説明と、これからどのように軌道修正するかを伝え回っている。
 ─現時点での「ヤフーショッピング」の状況は。
 「ヤフーショッピング」において、日曜日の高還元施策は撤廃したが、最近では平日に「PayPay支払いなら毎日5%」、さらに「5の付く日はポイント+4%」や、対象のショップで3000円以上の注文をすると最大10%割り引きで商品を購入できるキャンペーンなどを実施している。
 これらの施策を組み合わせることにより、購入者がなるべくお得になる企画を提供している。以前は日曜日の購入で10%が戻ってくる仕掛けだったが、今はソフトバンクモバイル契約者じゃなくても、平日に商品を購入しても、以前ほどではないが、比較的高いポイントを還元している。ポイント還元だけではなく、値引きなどのキャンペーン内容が多様化している。
 だが、未だ今年に入り、23年4―6月期の流通額は前年同期を下回っている。その理由としては、当社の力不足だが、いつどのようなキャンペーンをやっているのか分かりにくいのが理由だろう。下半期からは、消費者が見ても出店者が見ても、キャンペーン内容を分かりやすくまとめて、毎日の組み合わせで、これだけお得になることをしっかりと伝えて、商品購入につなげていく。


■LINEとの統合に期待

 ─今後の「ヤフーショッピング」の復調策は。

(続きは、「日本流通産業新聞」8月31日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ