人材活用や企業支援などを行うTWINKLE STARS(本社兵庫県、松川倫子社長)で、コンサルタントとして活動する武藤友章氏は、住設訪販企業などの法務担当として長年、キャリアを積んできた。現在もこれまでの経験を生かし、広報やマーケティング、営業、法務関連などの支援を行い、企業をサポートしている。武藤氏に23年における訪販業界の展望について聞いた。
23年のビジネス環境から考えると、日本全体のビジネス環境は22年から続いてる海外のインフレや原材料費の高騰などで、物価上昇は多少続くと思われる。一方、働く人の給与は、物価上昇に伴って上がる可能性は低く、買い控えなどが続く厳しい状況が当面続くと予想する。3年ほど経過したコロナの影響は、感染拡大が広がった当初と比べると、行動制限が緩和されたので、訪問営業による活動に良い影響が出ると思われる。
20年以降、感染拡大に伴う外出自粛などの影響で、多くの訪問販売企業が顧客との接触機会を増やすために、ウェブ集客の強化や電話勧誘などにシフトする動きが目立ち、マルチチャネル化を進める企業が増えた。この傾向は今後も続くと思われ、マルチチャネル化で集客力を向上できた企業が売り上げを伸ばし続けていくと思われる。
しかし、住設業界では、見積もり作成に必要な現場調査や、商談のための訪問が必須となる。特定商取引法における訪問販売の定義は「申し込みが事務所以外の場所で行われる場合」となっているため、たとえウェブや電話による見積もり依頼の場合でも、自宅などに訪問して申し込みや契約を行う場合は訪問販売となる。そのため、特定商取引法の訪問販売に関する法令をしっかり守る必要がある。
特に昨今は、住設系の一括見積もりサイトに登録する企業が多い。なかには、「見積もり依頼は招請勧誘だから特商法に該当しない」と考えている企業もある。法定書面になっていない契約書や再勧誘の禁止、不実告知などを行う企業も散見される。このように法律を理解していない企業と競合する場面が増えていくことを考慮すれば、今後、コンプライアンスの順守を引き続き強化していきつつ、営業員の営業自体のレベルアップをさらに向上させていくことが重要になる。
また、22年末に消費者庁から「ステルスマーケティングに関する検討会報告書」が出された。今まで規制のなかったステルスマーケティングに、景品表示法での規制が追加される。最近は、訪問販売で、ウェブ上の評判やレビューが営業成果を左右する場面が増えてきている。
この報告書では、
(続きは、「日本流通産業新聞」2月16日号で)
【どうなる!?2023年 有識者に聞く】(3)<訪問販売業界の展望編> TWINKLE STARS コンサルタント 武藤友章氏/コンプライアンスの多面化と営業の質向上が不可欠(2023年2月16日号)
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