【どうなる!?2023年 有識者に聞く】(2)<ネットワークビジネス編> マーベリック 多田正幸社長/インボイス問題への対応がキーポイントに(2023年2月9日号)

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 ─2023年のNB業界についてどのようにみているか。
 NBの新規立ち上げや撤退など、いろいろとあるだろうが、そんな中で2023年のNB業界の一番のキーポイントは、インボイス問題への対応になるとみている。それだけ対応の難しい問題だと言える。
 本来、制度の趣旨から言えば、全NB会員にインボイス登録をさせられれば良いのだが、現場の空気感からして、そういった対応を、全会員がしてくれるとは考えにくい。NBの会員の中には、月に数百円、数千円という少額の報酬しか得ていない人が多数いる。そうした会員がすべて、わざわざインボイス登録をしてくれるとは考えにくい。
 一方で、インボイス登録の有無にかかわらず全会員に10%の消費税を支払うとなると、?税の二重払い?の状態が生じてしまい、企業にとっては大きな負担となる。
 近年、NB企業では、報酬の払い出し競争が起こっており、売り上げの50%を報酬として還元しているという企業も少なくない。中には、売り上げの60%を報酬として還元しているという企業まである。
 さらに言うと、商品の原価も、大量生産が可能な一部の大手を除けば、高くなっており、原価率20~25%という企業もざらにある状況だ。そこに運営経費がかかり、その中で何とか各社は利益を出している。
 今回のインボイス制度では、会員がインボイス登録を行わない場合、単純計算でいうと、そこに報酬額の10%分の税負担がプラスオンされることになる。売り上げの50%を占める報酬の10%ということなので、売り上げの5%が税負担として消える計算になる。商品の原価率がプラス5%になるのと同じことだ。
 このようにNB企業にとっては、由々しき大問題なのだが、個々のNB会員には理解してもらいづらい面もある。NB企業として、この問題にどう対応するかが問われる1年になりそうだ。
 ─実際には、どのように対応するのが良いと考えるか。
 クライアントに大きく影響する問題だけに、当社としても、法的な側面を含め、いろいろと対処法について調査を行ってきた。その結果、見えてきたこともある。
 例えば、インボイス対応の有力な選択肢の一つとして、インボイス登録をした人には消費税を払うが、していない人には払わないという方法がある。ただ、この対応については下請法の「優越的地位の濫用」に当たる可能性があるとの指摘もあった。当社なりに、専門家に話を聞くなどいろいろと調べた結果、現時点では、適正なやり方をすれば、下請法の「優越的地位の濫用」には当たらないのではないかという感触を得ている。専門家が言うには、「この問題について優越的地位を持っているのはむしろNB会員の方ではないか」ということだった。また、今回の場合、会社側が一方的に、会員の不利益を決めたというわけではなく、法律が変わったことが発端だ。そうした点も考え合わせると、「優越的地位の濫用」には当たりづらいという見解だった。
 とは言え、法に抵触する可能性がまったくないともいえない。どうするかを決めるのは、最終的には各社の経営判断だ。
 ─税理士に諮って対応を決めたいというNB企業もあるようだが。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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