〈化粧品・下着サロン販売〉 スマホアプリ活用が急拡大/顧客接点増やし、サロン集客フォロー(2021年11月25日号)

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 化粧品や下着などのサロン販売を行う訪販企業において、スマホアプリの活用が急速に拡大している。化粧品訪販のシーボンは今年1月、独自のスマホアプリの提供を開始。ポーラも11月11日、スマホアプリをリリースした。ダイアナやマルコといった、下着のサロン販売会社も、アプリの拡充を図るなど、活用を活発化させている。こうした企業の多くに共通する、アプリ活用の目的は、「サロンへの集客拡大」。コロナ禍でサロンへの集客がしにくくなる中、顧客との接点を創出し、サロン来店へと、少しでもつなげたいという狙いがあるようだ。中には、ダイアナのようにアプリ上でのECに乗り出す企業もある。ダイアナではアプリECの本格化により、ECの売り上げが前期比2.6倍に拡大したという。リアルの接触が「当たり前」ではなくなったコロナ禍の訪販において、アプリは、会社・顧客を”常時接続”する、貴重な接点となっているようだ。

■既存顧客との接点強化

 化粧品や下着のサロン販売各社は、コロナ禍を背景に、スマホアプリ活用を活発化させている。背景には、コロナ禍の中、ウェブ経由の新しいコミュニケーションを創出したいというニーズがあるようだ。アプリ活用を、サロン来店へといかにつなげるか、各社知恵を絞っている。
 シーボンが今年1月に提供を開始したスマホアプリ「C’BON フェイシャリストサロン」は、サロンでのフェイシャルエステの予約を行える機能を搭載している。顧客は、スタッフの空き状況を、アプリ上で確認できる。前回接客したスタッフに、次回の接客を依頼するといったことも可能だ。
 シーボンのアプリでは、サロンのスタッフがオンラインチャットで接客を行う。顧客は、アプリを通じて、オンラインでフェイシャリストに、美容情報について質問することもできる。
 シーボンでは今後、できるだけ多くのサロン来店客に、アプリのダウンロードを促していくという。アプリを通じて顧客をフォローし、サロンに定着させるという流れを確立していきたい考えだ。
 一方、11月11日にスマホアプリ「PORTAL by POLA」をローンチしたポーラでは、新アプリを、顧客との購買の接点だけでなく、顧客体験全体を通してコミュニケーションを再構築するための、OMO(オンラインマージウィズオフライン)戦略の一環と位置づけている。
 ポーラのECサイトに流入した顧客に対しても、アプリのダウンロードを促す。まずは、ポーラのブランド情報や美容情報といった世界感に触れてもらうのが狙いだ。顧客のアプリ内の行動データなどで、ニーズを把握。顧客の住んでいる地域に近いサロンへの来店を提案するのだという。
 ポーラのサロンに通う既存顧客にも、アプリのダウンロードを促す。サロンで販売員がこれまで行っていた顧客のフォローにプラスアルファする形で情報発信を行うことにより、顧客のロイヤルティーを高める狙いもあるという。
 ポーラの新アプリでは、肌悩み別に手入れ方法を知ることができる美容コンテンツなど100種類以上配信している。お気に入りのサロン店舗や百貨店のカウンターを、アプリ上に登録することもできる。ブランドページには、製品をECサイトで購入できる導線も設置している。
 ポーラでは今後、アプリ上の顧客の行動データの分析を進める考えだ。「アプリの利用頻度が高い時間帯」「アクティブ利用率」などの情報を収集・分析。得られたデータを基に、店舗への来店促進などにつなげていくという。中長期的には、顧客のLTV(ライフタイムバリュー、顧客が中長期的に生み出す収益)を高める施策も検討していくとしている。


■EC利用でサロンの売上に

 下着のサロン販売を行うマルコでも、サロンと顧客を結ぶ貴重な接点としてスマホアプリを活用している。
 同社のアプリでは、

(2021年11月25日号)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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