【通販・通教・EC 2017年度 売上高ランキング】 BtoB、衣料品、健食が増収/今後の成長には物流対策が必須

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 BtoB通販大手のアスクル、ミスミ、大塚商会は1000億円を超える売り上げ規模だが増収を継続している。1000億円以下でもMonotaRO(モノタロウ)は2桁増収となり、カウネットも増収している。
 もともと、カタログで商品を紹介し、FAXや電話で注文を受け付けていたが、販売チャネルはネットにシフト。アスクルはECサイトの表示速度や検索精度を改善し続け、顧客のニーズに対応したパーソナライズ化を進めている。
 製造・工事現場向けのモノタロウや美容サロン向けのビューティガレージなど、オフィスではない”職場”で利用される通販サービスでは、スマホからの注文対応を強化している。専用アプリで手軽に追加注文ができたり、新商品の情報を得られるようにして、利用頻度を高めている。


 日本流通産業新聞が18年8月に集計した「通信販売・通信教育売上高調査〈夏季〉」によると、上位442社の合計売上高は6兆9025億2700万円となった。前年実績と比較可能な167社で算出した実質伸び率は5.4%増だった。カテゴリーでは、BtoBや衣料品、健康食品の増収が目立った。BtoBや衣料品はEC化が遅れていた分野だったが、大手企業は最新技術を駆使し、買いやすさを追求することで成長を継続。健康食品ではアフィリエイトなどの広告手法を効果的に活用した企業が急成長している。大手通販企業が今後、成長のボトルネックと考えているのは物流だ。物流コストの上昇を抑えるだけでなく、新たな配送サービスに挑む企業も登場している。

■物流に強い上位企業

 1位のアマゾンや2位のアスクルは、物流での差別化を進めている。アマゾンは有料会員に送料無料でスピード配送に対応しており、リピート購入につなげている。
 アスクルは最新設備を導入した物流拠点の拡大や自社配送の強化で、物流コストの削減に取り組む。需要予測に基づいた小口配送の実証実験も行っており、物流の最適化に本腰を入れている。
 EC事業は増収を続けるユニクロだが、17年初頭には物流拠点で障害が生じて、配送遅延があった。高まる需要に冷や水を浴びせる格好となった。成長を継続するために、物流の安定的かつ効率的な運営体制を構築することは不可欠だといえる。
 楽天やスタートトゥデイなどの大手ECモールも物流サービスへの投資を強化している。中堅・中小企業は大手ECモールのインフラを活用するか、自力で物流の最適化を図るか、決断を迫られそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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