消費者庁/健増法で初の勧告/ライオンのトクホ飲料「トマト酢生活」で

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
トクホ許可表示の範囲を超える広告表示をしていた

トクホ許可表示の範囲を超える広告表示をしていた

 消費者庁は3月1日、ライオンが販売する特定保健用食品(トクホ)の飲料「トマト酢生活トマト酢飲料」の新聞広告における一部の表示が健康増進法の規定に違反するとして、同法に基づく勧告を行った。消費者庁表示対策課食品表示対策室によると、健康増進法に基づき食品の虚偽誇大広告に対して勧告などの処分を行うのは「今回が初」と言う。
 健康増進法における虚偽誇大広告に対する「勧告」は、法施行以来1回も使われたことがなく、〝抜かずの宝刀〟といわれていた。消費者庁は今回初めて、〝抜かずの宝刀〟を抜いたことになる。処分の前例が生まれたことから今後、同法に基づく勧告が増える可能性がある。
 ライオンが15年9月15日から11月27日までの間に日刊新聞に掲載した広告表示に、健康増進法の規定に違反する内容があったという。
 ライオンが販売していた「トマト酢生活」のトクホ許可表示は「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です。」だった。
 これに対して広告では、トクホの許可商標を掲載した上で「臨床試験で実証済み!これだけ違う、驚きの『血圧低下作用』。」などと記載していた。
 ライオンは広告で、「毎日、おいしく血圧対策」「〝薬に頼らずに、食生活で血圧の対策をしたい〟そんな方々をサポート」などとも表示していた。
 消費者庁ではこれらの広告表示について「あたかも、〝高血圧を改善する効果が得られる″ことを消費者庁が認可したかのように示す広告表示をしていた」(表示対策課食品表示対策室)と判断。健康増進法第31条が禁じている「著しく事実に相違する表示」「著しく人を誤認させるような表示」にあたると判断した。
 ただ、健康増進法32条では、「国民の健康の維持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがある」場合にのみ勧告を行えると定めており、この点が勧告を行う上で、これまで高いハードルとなっていた。
 消費者庁ではこの点について「〝高血圧〟は、薬物治療を含む医師の診断・治療によらなければ一般的に改善が期待できない疾病である。にもかかわらずあたかも、同商品を摂取すれば医師の診断や治療はせずに済むと誤認されかねない広告内容になっていた」と判断。「健康増進法の31条違反だけでなく、32条にも該当すると判断した」(同課)としている。

(続きは「日本流通産業新聞」3月3日号で)

「トマト酢生活」のパッケージ

「トマト酢生活」のパッケージ

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ