【訪販・通販のカスハラ対策】 顧客の迷惑行為が経営を打撃/行政、団体は防止対策に本腰へ (2023年11月30日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

カスタマーハラスメントの概念のイメージ

 さまざまなハラスメントに世間の厳しい目が注がれる中、顧客などからの著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題になっている。東京都では10月から、カスハラ対策に向け、防止条例を視野に入れた検討会を立ち上げ、専門家を交えた議論を始めた。公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)では、専門家を交えたセミナーを開催したり、加盟企業の事例を踏まえたハンドブックを発行したりして、お客さま相談窓口向けの対応策を推し進めている。公益社団法人日本通信販売協会でも今後、顧客担当者が集まる消費者委員会でセミナーを開催する見通し。通販・訪販企業では、顧客からの理不尽な要求に、たびたび泣き寝入りする形で被害を受けている。背景には「お客さまは神様」といったように偏った消費者保護があるからだと指摘する声もある。従業員のメンタルヘルスに影響を与えるカスハラ対策について取り組みを探った。

■訪販企業はカスハラ被害に

 都内の健康食品の訪販企業では、お客さま相談室に「販売員の接客態度が気に食わない」「販売会場の椅子に座る際にけがをした」といった理不尽なクレームが寄せられる。
 以前は、ケガをしたと主張する消費者の治療費を負担したり、すでに消費しているサプリメント代金を全額返金したりしてきた。中には、社員に土下座を求めたり、社員の退職を要求したりする過剰で悪質な事例も受け入れてきたことがあるという。
 対策として最近では、悪質と判断できた場合に「やり取りを録音させていただきます」と自動アナウンスするシステムを導入。また「弁護士が対応する」と伝え、毅然とした態度を取ることで以前のような悪質なクレームは減少した。
 今後はこうしたケースについて、既存顧客でも購入を拒否する対応も検討しているという。被害を受けた社員に対しては、悪質なクレーム客の担当から外して、メンタルをケアして離職防止につなげる。


■<東京都> 防止条例も視野に議論開始

 こうした現場の状況を受け、東京都は10月31日に「カスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会(第1回)」を開催して議論を始めた。論点に挙げられたのは、カスハラの定義、実効性のあるルール作り、顧客から正当な申し出との線引きなどだ。
 検討部会は、都議会の定例会議で都民ファーストの会と立憲民主党の二つの会派からの「カスハラ対策について条例を含めて対応について検討するべき」という主張がきっかけとなった。議会の意見を踏まえ10月20日に、商工会議所や労働組合などの団体と都が年に一度開催する「公労使会議」で、カスハラ対策を論議。この会合では、事業者団体から「都でルールを作ってもらいたい」との意見が寄せられた。
 検討部会では

(続きは、「日本流通産業新聞 11月30日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ