【コールセンター売上高調査】 伸び率は4.2%増/35社の合計売上高は1兆2808億円(2023年10月26日号)

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 日本流通産業新聞社は10月、電話応対業務を受託するコールセンター企業の売上高を集計した「第30回コールセンター売上高調査(22年度)」をまとめた。ランキングに掲載した35社の合計売上高は1兆2808億6200万円となった。前年実績と比較可能な24社から算出した実質伸び率は4.2%増だった。市場としても成長は続いているが、コロナ禍と比べると成長は緩やかになっている。

 22年度のコールセンター企業は、増収を継続する企業が多かった。取材を通じて、22年度は好調だったが、23年度の売り上げは厳しいと話す企業は多かった。
 1位のトランスコスモスは、グループとして、大規模な業務実行能力を生かし、社会インフラとして、コロナ禍に政府・自治体・民間企業の政策に関連する業務支援を手がけた。コロナ禍のニーズの落ち着きとともに、緊急性の高い一部業務については縮小傾向となっている。一方で、アウトソーシングサービスに対する高い需要を捉え、DXパートナーとして企業の経営・事業の変革を支援するサービスを積極的に展開し、受注拡大につなげた。
 2位のベルシステム24ホールディングスは、グループの主力事業であるCRM事業が、アウトソーシング需要の高まりを受け、堅調に推移したという。コミュニケーション手段の多様化に加え、急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)などの導入による自動化が進んでいる。さらに分散する顧客対応データの資産化・活用が求められるなど、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められ、それに対応した。
 3位にはりらいあコミュニケーションズ、4位にはKDDIエボルバがランクインした。この2社は今年9月、経営統合し、アルティウスリンクを設立した。これにより、同社の事業規模は売上高は2400億円、取引先は1300社以上、従業員は約5万8000人、拠点数は約100拠点となった(トップインタビューを2面に掲載)。
 6位はセコムグループのTMJだった。特定クライアントの業務拡大と自治体向け業務の継続が増収に寄与したという。
 9位のSCSKサービスウェアも非対面対応業務が増加したり、自治体向けコロナ関連業務の受注が拡大したという。


■今期は各社業績に暗雲

 今期のコールセンターの売上高について、多くの企業が「下がる」と危機感を露わにする。それもそのはずで、コロナが5類に移行されたことで、コロナ関連の受注がストップしている。20、21、22年度とコロナ特需とともに成長してきたコールセンター業界にとっては、転換点を迎えている。
 どのように今後の勝ち筋を見出していくのか。通販に関しては、全てのチャネルでのユーザーの行動データを把握し、最適な販促を展開できるかが鍵を握る。
 ECサイトだけではく、SNS、オフラインなど、全ての販売チャネルを横断的に分析できることが重要になる。大手企業はすでにサービスの提供を開始している。


■ブランディングが急務

 人材採用に関しても、引き続き「課題」と訴える企業も多い。そのような企業に伝えたいことがある。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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