ナリス化粧品/ターンオーバー低下は角層細胞の重複に/IFSCCバルセロナで研究発表(2023年9月21日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 化粧品訪販のナリス化粧品(本社大阪市、村岡弘義社長)は、9月4日から7日にスペインのバルセロナで開催された化粧品の国際学会「IFSCC Congress(コングレス) 2023 Barcelona(バルセロナ)」において、角層細胞形状の個別認識をさせるAI解析システムについて研究発表を行った。同システムを開発し、それを用いたところ、高齢者のターンオーバーのスピードが低下する理由が明らかになったという。角層細胞の隣接細胞との重複(オーバーラップ)が、高齢者のターンオーバーの低下に大きく関与していることが明らかになったとしている。
 ナリス化粧品は、トーマスラボ(本社福岡県)と共同で、AI解析技術を確立し、細胞を個別認識するAI解析システムを開発したという。
 まずは2年以上をかけて、2万個以上の角層細胞形状をAIに学習させ、重複した角層細胞の形状を大量かつ正確に把握するシステムを構築したとしている。そのAIを使用し、20代~60代の人の角層を、オリジナルの角層テープで採取。角層細胞の解析を行い、平均値を出したところ、角層細胞の面積については、顔の中心部が小さく、外側の方が大きい傾向があることなどが分かったという。
 AIの解析で、加齢変化に着目してみると、高齢者の角層細胞は重複率が高く、若齢者は重複率が低いことが分かったという。それぞれの形状の要素を総合した場合、高齢者と若齢者による差が大きいのは、目もとや頬の下部など、たるみやシワが起こりやすい部位であることも分かったという。その結果、真皮の状態の関与も示唆されたとしている。
 ナリス化粧品では、こうした解析の結果、角層細胞の重複率と剥離性に因果関係があると考え研究を行った。その結果、重複率が低いと角層剥離がスムーズである一方、重複率が高いと DSG1の分解が阻害され、角層剥離が起こりづらくなることが分かったという。最終的に、「高齢者の角層は重複率が高いため、ターンオーバーしづらい」ということが判明したとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ