ヤフー <モール流通額が大幅減>/進む顧客離れ、てこ入れ策が奏功するか(2023年4月20日号)

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今年3月の「PayPay祭」は前回よりポイント付与率が減少

今年3月の「PayPay祭」は前回よりポイント付与率が減少

 ヤフーが運営するECモール「ヤフーショッピング」の23年3月度の全体流通額が、前年同月比30.78%減となったことが分かった。3月に実施した大型キャンペーン「超PayPay祭」においてポイント付与率を減らした影響が出たようだ。昨年からキャンペーンの特典を減らしている影響もあり、”顧客離れ”が顕著に数字として表れている。5月にはてこ入れ策として新たなキャンペーンを実施するという。「ヤフーショッピング」の現状や対応策についてまとめた。

 「ヤフーショッピング」が売れなくなった─昨年から出店企業への取材でよく聞くようになった。
 取材で聞くところでは、若干の減少傾向にある程度だと捉えていたが、出店者から「3月のモール全体の流通額が激減している」という情報が入ってきた。
 ヤフーの担当者が出店者に開示しているデータによると、今年に入ってからの流通額は1月が同9.88%減、同2月は20.24%減と大きくなり、3月にはついに同30.78%減にまで減少幅が広がったという。
 3月は商戦期であり、ヤフーとしても3月1~21日にグループを挙げた大型企画「超PayPay祭」を開催したが、このキャンペーンが不発だったようだ。
 3月の「超PayPay祭」では、「PayPay」支払いで毎日5%たまる企画や、ソフトバンクユーザーならさらに2%付与するキャンペーンなどを展開していた。しかし、1年前の「超PayPay祭」のポイント最大付与率が40.5%だったのに対し、今回は22.5%にとどまっていたという。
 「超PayPay祭」に期待していたユーザーが、特典の減少に失望し、利用を控える動きが広がったと分析できる。


■特典減少は昨年から

 ユーザー特典の減少は昨年から続いている。
 昨年10月には、ソフトバンクユーザー向けに提供していた「毎週日曜日は最大10%相当戻ってくる!」キャンペーンを終了し、「毎日最大+3.5%」キャンペーン(PayPay支払いな5%付与)に移行した。
 アスクルの日用品ECサイト「LOHACO(ロハコ)」は、「ヤフーショッピング」にも出店しているが、キャンペーン変更の影響を受けている。22年6月―23年2月期(第3四半期)の「LOHACO」の売上高は、前年同期比9.5%減となった。
 さらに、今年2月には、「5のつく日キャンペーン」のポイント付与上限額を5000円相当から1000円相当に減らしている。この変更は高額品などを扱う店舗に影響が出そうだ。
 Zホールディングスは経営体制の変更に伴い、「ヤフーショッピング」への投資を抑制するという経営方針を明らかにしている。その方針に沿ってキャンペーンなどのポイント還元率を下げているようだ。
 戦略としては、「PayPay」や「LINE」との連携を強化し、ユーザーの利用率を高めることを狙っているが、まだその好影響は明確には表れていない。


■新施策に混乱する店舗も

 ヤフーは昨年、「PayPayモール」を「ヤフーショッピング」に統合したり、「注文日+2日以内」に配達できることなどを条件とした「優良配送」対応商品の検索優遇策などを実施している。矢継ぎ早な新施策の実行が、一部の出店者に混乱を招いている。

(続きは、「日本流通産業新聞」4月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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