イオン、新ネットスーパー始動/今夏に関東の一部で展開(2023年4月6日号)

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バラット・ルパーニ社長

バラット・ルパーニ社長

 イオングループのイオンネクスト(本社千葉県、バラット・ルパーニ社長)は4月4日、今夏をめどに、ECサービスの新ブランド「Green Beans(グリーンビーンズ)」を開始すると発表した。まずは東京・神奈川・千葉の一部で最短翌日配送を開始し、順次エリアを拡大させる。提携する英国・オカド社が建設した、AIとロボティクス機能を導入したフルフィルメントセンターを稼働させる。
 同日に都内で開催した記者発表会で発表した。「グリーンビーンズ」は、東京23区の若いファミリー層をターゲットとする。まとめ買い利用を主軸とし、過去の購入履歴をAIが判断して購入しそうな商品をレコメンドし、自動でカートに入れてくれる「スマートカート」を実装した。レシピ機能も充実させ、必要な食材を購入できるようにする。
 配送時間については、無休で7時から23時まで1時間単位に設定できる。注文はスマホアプリのほか、カスタマーサポートセンターで午前6時30分から午後11時30分まで電話サポートも行う。2週間先まで注文をできるようにするほか、配送直前に配送予測時間をメールで通知することで利便性を高める。当初は手渡し配送を原則として、置き配については今後検討していく。
 約2000品目の冷凍食品やミールキット、海外のヴィーガン向け食品、医薬品、ベビー用品などの生活雑貨なども含めて、初年度で店頭の2倍となる最大5万品目の品そろえを目指す。1週間の鮮度保証された生鮮野菜「1週間鮮度保証(鮮度+)」を新たに開発、販売することで付加価値を高める。AIを活用することで欠品率を減らし、フードロスの削減も目指す。


■自社のスタッフで配送

 配送についてはグループ会社で物流を担う「イオンネクストデリバリー」を新設した。冷蔵・冷凍の専用トラックを用意。専任スタッフ(デリバリークルー)は独自の研修制度を通じて、接客レベルを担保した人材を充てる。イオンネクストデリバリーの野澤知広社長は「お客さまとのタッチポイントであるデリバリースタッフへの接客に対する訓練をしている。現在は約2割が女性の応募で占めている。デジタル化で作業効率を高めて、さまざまな業種の方から人材を採用していきたい」と話した。
 イオンネクストのバラッド・ルパーニ社長はブランド名の由来について発表。イオンが目指すヘルス&ウエルネスを実現することを目指し、緑(グリーン)は「新鮮さ」、「健康」、「再生」を意味し、「平和」、「環境配慮」や「豊かさ」を象徴している。ビーンズ(豆)は豊かさと幸せの象徴で栄養や変化を表現し、二つのワードを組み合わせたと説明した。
 ルパーニ社長は「今回のサービスを通じて、日本の未来を担う若い世代をサポートできるようにしたい。5万SKUを用意した。今回のプラットフォームを構築することで、お客さまに楽しく、特別な買い物体験ができるようにしたい」と話した。
 イオンの吉田昭夫社長は、「国内の食品のオンライン市場は海外と比較すると低い傾向にある。当社の中期経営計画では、デジタル化は最優先課題。19年に英オカド社と戦略的なパートナーシップを締結し、イオンネクストを立ち上げた。世界レベルの最も優れた買い物体験を実現していきたい」と述べた。
 都内でサービスを開始する理由について、吉田氏は「都内で店舗出荷型のネットスーパーは3カ所(品川・有明・東雲)しかない。購買意欲の高い消費者に対してニーズを取り込みたい」と説明。
 ネットスーパーと並行することについては、「既存のネットスーパーとはしばらく併存させる。新サービスは既存の商品と違うようにすることで差別化できる。継続的な利用を促すことで、イオングループのトータルのサービスを提供できるチャネルに育てて、東海や関西などに展開することも検討していきたい」と話した。

イオン・吉田社長

イオン・吉田社長

記者発表会の様子

記者発表会の様子

自社トラックで配送

自社トラックで配送

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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