<消費者庁> 特商法の政令改正案について意見募集/テレビ通販の電話受注でクロスセルすると違反か(2022年1月1日新年特大号)

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消費者庁

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 消費者庁は11月30日、「電話勧誘販売」に該当する要件を拡大する旨を盛り込んだ、特定商取引法の政令の改正案について、パブリックコメントを開始した。原案通りの内容で改正されると、例えば、ウェブやテレビ・ラジオ広告、新聞広告などを見て電話をかけてきた顧客に対して、クロスセルやアップセルを行う行為が「電話勧誘販売」に該当することになる。「電話勧誘販売」の場合、書面交付義務や、再勧誘の禁止規定など、「通信販売」にはない、義務・禁止行為が多数規定されている。クーリング・オフを受け付ける必要もある。違反すれば、行政処分や刑事罰の対象となる可能性がある。


■そもそも「電話勧誘販売」

 特商法では原則として、事業者が顧客に電話をかけて行う勧誘行為を、「電話勧誘販売」と規定し、「訪問販売」などと同様の厳しい規制をかけている。特商法では、事業者が電話をかけない場合でも、「事業者が欺瞞的な方法で消費者に電話をかけさせて勧誘した場合」については、「電話勧誘販売」に当たると規定していた。
 この「消費者に電話をかけさせる方法」について、現行の政令では「電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、又はビラ若しくはパンフレットを配布して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに電話をかけることを要請すること」と規定している。
 例えば、郵便物でAという商品について案内し、電話をかけて来た顧客に対してBという商品のクロスセルを行った場合は、これまでも「電話勧誘販売」に該当していた。
 今回の政令の改正案では、「電話をかけさせる方法」の例示の中に、「広告を新聞、雑誌その他の刊行物に掲載し、若しくはラジオ放送、テレビジョン放送若しくはウェブページ等を利用」することを新たに追加している。
 新聞・雑誌広告、テレビ・ラジオ、ウェブなどを見て電話をかけて来た顧客に対して、クロスセルやアップセルを行うと、「電話勧誘販売」としての規制を受けることが明確化することになる。
 行政は新たな規制を導入した場合に、一罰百戒の意味を込めて、積極的な処分を行うケースがある。
 健康食品や化粧品などの通販では、広告を見て申し込みの電話をかけてきた顧客に対して、別の商品のクロスセルやアップセルを行うケースが一般化しており、書面交付義務を果たさないケースなどで見せしめの処分が増えることが懸念される。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月1日新年特大号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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