【通販・訪販市場の2023年】 混迷の1年一歩抜け出すために(2022年1月1日新年特大号)

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 23年兎(うさぎ)年の通販・訪販市場を占う。コロナバブルで急成長を遂げてきた通販・ECは、「ウサギとカメ」の寓話のウサギに似る。ダントツでリードしたつもりが、気がつけば、競争激化の突風にあおられ、因幡の白兎よろしく窮地に陥っている。そこでいうと、訪販はさながらカメ。コロナ禍の逆境を、あきらめずに進み続けた企業が勝利をつかむか。混迷の23年を一歩抜け出すために必要なのは、脱兎のごときスピード感。一方、「賢者は長い耳と短い舌を持つ」とも言う。黙って人の話に耳を傾け、あとは兎に角、前に進もう。

【通販市場予測】 価格、商品見直しか/コスト増、景気後退で新局面

 通販業界の市場を予測するとき、プレーヤーに警鐘を鳴らす意味からも、厳しめの業界予測を発してきた。だが、2023年の通販市場は、必然的にこれまでとは異なる生き方や局面に迫られる可能性がある。なぜなら通販市場を取り巻く環境が、過去に経験をしたことのない厳しい状況を迎えそうだからだ。
 コロナ禍で一時的に息を吹き返した通販市場だが、アフターコロナを迎えて再び成長路線を見いだしにくくなっている。特にコロナ禍において久しぶりの増収基調に転じた総合通販各社は、これまでの成長ドライバーを見直す動きが出始めている。
 総合通販事業の増収増益で順調な業績を維持してきたベルーナは、主力の通販事業による成長戦略を不安視。ホテルや不動産を取り扱うプロパティ事業を中心とした成長路線を描く。
 スクロールも主力となっている生協向けの通販事業のみならず、子会社であるスクロール360が手掛けているソリューション事業を第2の成長の柱と位置付けている。
 その背景には、昨年から徐々に影響が出始めている事業コストの上昇がある。円安の影響でコスト増が確実となる中、ロシアによるウクライナへの侵攻、国内防衛予算の増額による増税の可能性などが、通販事業者の危機意識や消費者の購買行動に影響を与えそうだからだ。
 中堅通販事業者の役員も
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【訪販市場予測】 トンネルを抜けるとそこは…/新規獲得で光明確かなものに

 トンネルの出口が見え始めている。それにしても「コロナ禍」のトンネルは長かった。トンネルの出口に明かりがちらつくものだから、暗がりに慣れた目には、少し痛いぐらいだ。
 ただ、トンネルの先に広がっている景色は、取り扱い商材などによって大きく異なる。
 例えば、住設。これは、明るい。「電気料金の上昇」を誰もが認識しており、太陽光発電やエコキュートの営業マンを消費者が呼び止めて「省エネ」の話を聞こうとするぐらいになっている。東京都が新築住宅への太陽光発電設置を義務化するのも追い風。コロナの自粛ムードが薄らいだだけでなく、追い風がビュンビュン吹いている状況だ。
 一方、化粧品。こちらはまだら模様だ。
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(続きは、「日本ネット経済新聞」12月15日・22日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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