千趣会/業績予想を下方修正/22年12月期、当期損失97億円(2022年11月17日号)

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 千趣会は11月11日、今期連結業績予想の下方修正を発表した。売上高は前回予想を70億円下回る610億円に、当期損失は前回予想を57億円下回る97億円となる見通し。22年1月に実施したシステムリプレイスのトラブルに伴う売上高の減少に加え、初秋の天候不順を受け9月の秋冬商材の需要減少が重なり、グループの中核事業である通販事業のベルメゾンの売上高が前年同期を大きく下回った。
 営業損失は前回予想を27億円下回る69億円、経常損失は同26億円下回る67億円となる見通し。春夏商材のバーゲン販売等を計画よりも踏み込んで実施したしたことによる原価率の悪化、販売促進費の規模拡大および先行投資となること等により、営業損益および経常損益は前回予想を上回る大幅な損失を計上する。
 こうしたことを踏まえ千趣会は、来期(23年12月期)の黒字転換に向け、ビジネスモデルの転換に取り組んている。
 具体的には、「通信販売事業のデジタルシフト」を実施する。現在、カタログを中心としたプロモーションを見直し、SMSなどによるデジタルプロモーションへの経営資源のシフトを進めている。
 その一環として、注力商品についてファネルに沿ったバナー作成、ランディングページ(広告のリンク先ページ)の作成、商品詳細情報の充実に取り組み、当該商品のセッション数の増加やコンバージョン率を改善。
 テレビCMとSNSとの連動による大規模なクロスメディア販促の準備を進めており、22年11月中旬から実施する。来期から今回の結果を踏まえ、施策のブラッシュアップを図った上で、継続的に実施していく。
 収益構造の変革にも取り組んでいく。従来のカタログに最適化した事業運営から脱却し、デジタルとの親和性が高く、競争優位性が高い商品(オリジナル商品)を中心に型数を大幅に絞り込むことで、売上総利益率の改善、商品開発、在庫管理等の事業運営の効率化を図っていく。
 カタログを利用しない顧客へのカタログ配布を抑制し、より有効的なデジタルプロモーションにシフト。販売促進費の効率化に努める。今後、潜在顧客層へのアプローチだけではなく、既存会員の継続率、購入頻度増に重点投資することで、投資対効果の最大化を図っていく。
 カタログについては、支持される顧客への重要なプロモーション、コミュニケーションツールとして、今後もさらに提案品質に磨きをかけ活用していく。
 通販事業のデジタルシフト化と合わせて、広告ソリューション事業の拡大に取り組んでおり、女性会員数が国内有数規模のECサイト「ベルメゾンネット」を活用した新たな広告メニューの開発、テスト販売を進めている。
 利益率の高い広告ソリューション事業の売上高、利益の拡大を図ることで、グループ全体の収益率改善につなげていく。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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